初恋物語~大切な君へ

「だから感動して泣いてくれたって事?」





「そうだよ…。」
「本当感情がこもって良い曲だったよ!」






「木梨は優しいなぁ(笑)」
「ありがとうな。」





そう近藤君は言って私に笑顔を見せてくれた。
優しいのは近藤君の方だと私は思う。
いつも友達思いで、困った人がいればさりげなく手助けしちゃう事ができる。
それに優しいだけじゃなくて意見もしっかり持っていると私は思った。
なんだか同じ歳にはみえない…良い意味で。
そりゃー近藤君、モテるわ(笑)
と言うかいつクリスマスプレゼント渡そう…。
カラオケで渡すのってなんかあまりオシャレではないよね…。
帰りどこか落ち着いた場所で渡せばいっか。
その方が後は近藤君も帰るだけだから荷物にならないし。



「木梨?なんか考え事?」




「あっ、ううん。」
「ちょっとボーッとしちゃってただけ。」



「それなら良いんだけど…。」
「他何か唄いなよ。」



「うん!」


私と近藤君はこの後も何曲か唄い続けた。
そして楽しい事は本当早く過ぎちゃうだなと実感していた。
カラオケに入ってからもう既に2時間になってフロントから連絡が入った。



「木梨忘れ物はしてない?」



「うん!」
「ちゃんと確認したから大丈夫だよ♪」



「じゃ、出るよ。」




「エレベーターなかなか」
「降りて来ないね。」



「もしかしたら混んでるかも…。」



「階段で行く?」
「階段で降りた方が早いかもだし。」



「だけど木梨そのブーツ、ヒール少し」
「高いだろ?」
「危ないからエレベーターの方が」
「いいと思うんだが。」




「私、全然大丈夫だよ!」
「意外とヒール、履きなれてるから。」





「木梨、エレベーター来た(笑)」




「あっ(笑)」
「来たなら乗っちゃおっか(笑)」





「人多いから気をつけて。」





「了解。」





エレベーターの中は既に人と人が密着する
状態の混み具合だった。
私は他の男性グループの1人に密着しそうになる…そう覚悟した瞬間、見慣れた
近藤君の胸が既に私を守ってくれていた。
こっ!これ、もう近藤君と私の身体は密着していた。
近藤君の服の柔軟剤の香りがする。
こんなの友達とはいえドキドキしてしまう
じゃん。
私は近藤君がどんな風に思っているのか
気になり彼の表情を見る為に顔を見上げた。
だけど彼は何ひとつ表情を変えずにフロントに着くまでずっと守ってくれていた。






「木梨大丈夫だった?」






「近藤君のお陰で大丈夫だったよ。」
「ありがとう。」



「お会計、2500円でございます。」



私は2500円丁度支払い近藤君が待ってる
場所へ戻った。


「木梨本当に払わなくて良かったのか?」



「うん!もちろん!」
「これまで近藤君、映画にご飯代も」
「奢ってもらってるんだから」
「このくらい払わせてよ(笑)」




「わかった!」
「お言葉に甘える事にするよ。」



「とりあえず外出よっか♪」



「外だいぶん暗くなってきたな。」


「本当だぁ!」
「楽しい時の1日って早いなぁ。」


「確かにな。」
「今日もこのまま時が止まれば良いのに」
「って思ってしまう。」



「楽しい時って本当そう思っちゃうよね」
「なんか学校の時はすごく時間すぎるの」
「遅く感じちゃうのに(笑)」
「不思議だね(笑)」



「言われてみれば本当不思議だ。」
「あっ、木梨ちょっと待ってて。」



「わかった。」
「じゃ、このおっきい時計台ら辺で」
「待ってるね!」



私は近藤君を待ってから約10分経っていた。
だが近藤君はまだこっちに戻ってきていない。
どうしたのだろ…。
私、なんか失礼な事言っちゃって
怒って帰ってしまったとか?




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