初恋物語~大切な君へ
そう言って優君はコートを脱ぎ、
私の身体にふわりとコートを優しくかけてくれる。
昔から変わらないね優君…。
この優しさ昔から変わらない。
いつだってさり気なく困ってる時は男女関係なく助けたりするところずっと好き。
「優君ありがとう。」
「どういたしまして。」
「ほら、始まるよ。」
上映が始まり辺りは暗くなる。
スクリーンの灯りが優君の横顔を映し出す。
整った顔…切れ長の瞳が画になる。
こう見ると雫とあまり似ていないと
私は思ってしまった。
雫の場合はどちらかと言うと垂れ目で結構瞳がおっきいよね。
1歳上の兄妹かぁ。
まぁあまり深く考えないようにしよう。
私の悪い癖が出てる。
こうして私は物語に集中し、楽しく映画観賞を終えた。
「優君、コートありがとう!」
「お陰で全然寒くなくなったよ!」
「それは良かった。」
「優君お昼ご飯どうする?」
「美桜は何食べたい?」
「私はね、ハンバーガー食べたい!」
「俺もハンバーガー食べたいと」
「思ってた(笑)」
「そこの目の前のハンバーガー屋寄る?」
「そうしよう!」
「そこのハンバーガー屋さん美味しい」
「って有名だし行ってみたかったの♪」
「意外と空いてるね。」
私はチーズバーガーセット
優君はトマトレタスバーガーセットを
注文し空いてるテーブルに移動した。
「優君、そのバーガー美味しい?」
「ああ。」
「結構パティーに味がしっかりしていて」
「美味いな。」
「美桜のハンバーガーはどうだ?」
「私のもちゃんとしっかり味ついて」
「いてチーズも濃厚だよ!」
「優君いる?はい。」
私はいつも雫と味見合いっこする感覚で
優君に私の食べかけのチーズハンバーガーを差し出してしまった。
いつもの癖だぁ…だけどここですぐ戻すのも失礼だし…優君はどうするのかも気になる。
いつもは雫が食べかけ渡した時食べてたよね。
それに優君から進んで差し出してる時もあった。
「あっ、俺はいいよ。」
「そんなに気に入ってるのなら」
「美桜が食べなって。」
「そっか…わかった…。」
ほらね。
優君は絶対そう言うと思った。
答えはわかっていたけれども…
やはり悲しくなっちゃう。
雫の事好きなのバレバレだっつーの。
「美桜?」
「なんか辛かったのか?」
「な…なんで?」
「少し涙目のような気がして。」
「大丈夫だよ。」
「ちょっとあくびを我慢しただけだよ。」
もう…どうして気付いて欲しくないところは気付いて、気付いて欲しいところには
気付いてくれないのだろ。
本当、雫以外の事になると鈍感だよね。
もう直球で言うしかないよね。
「それなら良いんだが。」
「ねぇ、優君に聞きたい事あんだけど。」
「聞きたい事?」
「うん…聞きたい事。」
「聞いちゃっていい?」
「いいよ。」
「何?聞きたい事って。」
私は聞く前にコーラを1口飲み干して口を
開けた。
「単刀直入に聞くけど…」
「優君好きな人いるよね?」
「ぶっ!」
美桜からの唐突の質問に飲んでいたコーヒーを少し吹き出してしまった。
誰にも俺は好き奴の話しした事ないのに。
「美桜…どうした!?」
「なんでそんな事聞くんだよ。」
「なんでって…ちゃんと教えてくれたら」
「なんで聞いたか教えるよ。」
「はぁ…わかったよ。」
「本当どうしたんだよ美桜。」
「好きな人いるよ。」
「それって…その相手って、雫でしょ?」
「なっ!!」
ちょっと待った!
なんでだ!?
なんで雫が好きだって知ってんだ?