初恋物語~大切な君へ


「えええ!なんで!?」
「なんか用事なの?」



「雫ごめんそうなの。」
「今日発売のどうしても欲しかったCD」
「があって買いに行く予定」
「だったんだけど忘れてたから今から」
「買いに行ってくる!」



「それって今日じゃないと駄目なのか?」




「そうなんだよ圭介君。」
「初回限定盤プラス今日発売日限定の」
「特典がもらえるからね。」


そう言って私は圭介君だけにわかるように
合図をする。
それを見た圭介君はちゃんと悟ってくれて
お礼の会釈をしてくれた。



「そっかわかった。」
「だったら俺が木梨を無事に家まで」
「送ってってやる。」



「圭介君お願いね。」



「えっ!?圭介君いいよ!」
「1人で帰れるよ!」



「それは駄目。」



「私もそれは反対。」



「えええ!なんで?」



「木梨、颯と約束したろ?」
「無事に家に帰るって。」
「長谷川が木梨を無事に家まで送って」
「く感じの流れでさ、長谷川が」
「突然用事できて一緒に帰れない。」
「そして木梨は1人で帰るってなって」
「もしそこで万が一事件とか事故に」
「巻き込まれた時、颯ならどう言うと」
「思う?」
「圭介!なんで雫を1人で帰らせた!」
「美桜ちゃんが駄目だったらちゃんと」
「圭介が送ってやれよ!」
「って言われるだろ?」
「それにちゃんと言う事聞いとかないと」
「颯に俺ら怒られるぞ?(笑)」



「そうだよ雫、圭介君の言う通りだよ。」



「みんなが怒られるのはヤダ。」
「わかった!近藤君に送ってって」
「もらうね。」



「素直でよろしい♪」
「それじゃ丁度駅着いたから私は」
「降りるね。」
「圭介君後は雫の事お願いね。」



「ああ。」
「任せろ!」


「それじゃまた明日ね!」


そう言って美桜は電車から降り、
私は近藤君と一緒に帰ることになった。




「行っちゃったね(笑)」



「だな(笑)」
「木梨、これあげる。」



「飴?ありがとう(笑)」



「この飴この間発売された物で」
「ゆずはちみつ味。」
「木梨好きそうだなぁって思って」
「渡したかったんだけど」
「タイミング逃しちゃったからさ。」



「近藤君ありがとう!」
「ゆずとはちみつ大好きだよ♪」
「今食べて良い?」




「うん。」
「俺も食うわ。」



「んんんんん~!」
「美味しい~!程よい甘さが絶妙の」
「バランスだよ!」



「だろ?」
「良かった木梨が喜んでくれて。」



「あっ、そうだ!はいこれ!」



「何これ?」


「良いから袋開けてみて♪」



俺は木梨から中くらいの紙袋を渡され、
その袋の中を開けてみるようにと指示があり俺はそのまま袋を開けてみた。
そして中に入ってる物を取り出すと…




「えっ!」
「これってこの前一緒に観に行った」
「映画の朝目覚めたら魔法使い」
「になっていたのクリアファイル!」



「うん!正解!」




「これ、どうしたんだ?」
「きっと非売品だとおもうんだが。」



「これね、お父さんの会社の人が」
「毎朝フレッシュの缶コーヒーを」
「飲んでる人いてて今、フレッシュと」
「コラボ中なんだって。」
「っで缶コーヒーに付いてるシールを」
「10枚貯めて買ったお店に行くと」
「クリアファイルがもらえるんだって。」
「んでそのお父さんがもらえる物は」
「もらうタイプでそのもらってる時に」
「お父さんも居てて私がこのアニメ好き」
「な事話したら2枚くれたんだって。」
「だから近藤君にもお裾分け♪」




「木梨!ありがとう!」



「いいえ♪」
「飴もらったお返しだよ!」




「大事にする!」
「って…!ヤバいぞ!木梨!」
「降りるぞ!」



「えっ!?」


「もう、最寄り駅着いてる!」



「えっ!うそ!早く降りなきゃ。」




先に近藤君が私の前を走って何とか
駅に降り、私もそれに続いて降りようと
した時自分の足と足が絡まり転けてしまうと思った瞬間、前みたいに私は近藤君に
抱きとめられていた。




木梨はまた危なっかしい事になっていた。
電車から早く降りなきゃと急いでたせいでもあるが足と足が絡まり降りる瞬間、
俺の方に向かって倒れそうになる。
そして俺は倒れて来る木梨を必死で受け止める。
その時木梨の髪からフワッとシャンプーの良い香りが俺の脳を痺れさせた。

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