初恋物語~大切な君へ


「木梨!大丈夫か!?」


俺は木梨を抱きとめたまま言葉を発した。





「近藤君ごめん!」
「衝撃で怪我とかしてない?」



「俺は全然大丈夫。」
「それより雫は大丈夫なのか?」



「近藤君が受け止めてくれたから」
「全然大丈夫。」
「ごめんね離れるね。」






私は近藤君の胸から離れようと身体を
動かしたが近藤君がそれを拒んだ。
私は再び近藤君の胸に引き戻され
抱き締められていた。
一瞬何が起こっているのかわからない…
わかるのは私達が降りた電車はいつの間にか発車していたことだけがわかった。




「こ…近藤君!?」



「ごめん木梨、もう少しこうして」
「いたいんだ。」



「ど…どうして?」



「胸がバクバクするから落ち着くまで」
「お願い…。」



「ごめんね、私が突然蹴つまづいて」
「近藤君の方に倒れてしまって。」
「びっくりしたよね…。」



「かなりびっくりした。」
「本当木梨は危なっかしいな。」
「だけど怪我なくて良かった。」



俺は木梨にそう言葉にし、1分ほど
木梨を抱きしめて解放した。
木梨を離してからも俺の心臓は早くて
こんなにも木梨の事が好きで好きでたまらなくなっていたのだと再び思わされた。
俺は中学から木梨を好きだけど
その想いは日に日に加速していき
好きが増すばかりでなかなか大変だと
今日つくづく思う。
木梨から颯と付き合う事になったと聞いたのは12月26日に俺が颯とのクリスマスどうだったのか気になって気になって仕方がなかったので木梨に電話かけて聞いてみたのが発端だ。
颯と恋人になった木梨と会うのは今日が
初めてで正直2人の仲の良い姿を見た時は
心臓をえぐられたような痛みが全身に
伝わり、泣きそうな気持ちになった。
だけどそれよりも木梨とこれからも関わりを持ちたい、颯と付き合ってると言う事は
わかっているけどそれでも傍にいて颯が
守れない時は俺が守ってやりたいと気持ちが強くなる。




「危なっかしいのはいつも親にも」
「言われちゃう(笑)」



「やっぱり?(笑)」
「木梨、ありがとうもう心臓治まった。」



「それなら良かった。」



「なぁ…俺、木梨に相談したい」
「事があるんだけど。」



「相談!?」
「うん!全然話し聞くよ!」
「あれだったらうちの近くの公園で」
「聞こうか?」



「うん。」
「ありがとう助かる。」



「いつも近藤君にはお世話に」
「なりっぱなしだからね(笑)」
「近藤君が困ってる時は助けて」
「あげたいし、話しも聞いてあげたい」
「からね。」
「大切なお友達だからそう思うんだよ。」



私と近藤君は駅を離れ、私の家の近くの
公園へと歩き、8分程で目的地へ到着した。




「近藤君そこの木製の」
「ベンチに座ろっか。」




「そだな。」




「んで、相談ってどんな相談なの?」
「近藤君から相談事私に持ちかけるの」
「初めてだよね?」
「いつも私ばかり聞いてもらって」
「たからいつか近藤君の悩みとか」
「聞いてあげたいなぁって」
「思ってたんだ。」
「だから近藤君から相談持ちかけ」
「てきてくれて嬉しい!」




「あっ、うんちょっと女性としての」
「意見を聞きたくてさ。」
「今から話すね…。」




「わかった。」



「俺さ、実はずっと片想い中の相手が」
「いるんだ…。」
「昔から知ってる人で、最初は少し」
「気になるなぁって程度だったんだけど」
「接点を持つようになってからはその子」
「を目で追うようになって、気が付けば」
「その子の事どうしようもないくらい」
「好きになってた。」
「だけどその子にはとても大切に想って」
「いる異性がいてその人と恋人なんだ。」



「近藤君…。」




「だけど俺、恋人がいるって」
「わかってても大好きで大好きで」
「たまらなくて全然諦められないし」
「このまま俺はずっとその子の事しか」
「考えられないんだ。」



「近藤君その子の事ものすごく大切に」
「想ってるんだね。」
「すごく素敵だよ。」




「ありがとう。」
「それで俺、来月その子に告白しようと」
「思うんだ。」
「振られるの前提だけど、その子きっと」
「俺への気持ちに全然気付いてない」
「みたいだし気付いて欲しいからさ。」
「そこでなんだが女性はどう思う?」
「彼氏がいる中他の男性に想われて」
「その男性に告白されたら嬉しい?」
「それともやはり告白はやめるべき?」
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