初恋物語~大切な君へ
「大丈夫だよ。」
「今家の掃除を兄ちゃんと手分けして」
「しててちょっと疲れてるのかも。」
「疲れてるならあまり掃除無茶」
「するなよ?」
「うん…ありがとう。」
「ところで颯太君電話どうしたの?」
「いや、もし暇だったらデートしたいと」
「思って。」
「突然だったけど誘ってみようと」
「思ってさ(笑)」
「もし、掃除終わって雫が落ちついたら」
「雫に会いに行って良い?」
「颯太君ごめん…今日は無理そう。」
「今日、ちょっとお母さんとお父さん」
「家に帰ってきたら話し合いたい事」
「あって。」
「大丈夫?雫…泣きそうな声だ。」
電話越しでもわかるくらい雫の声はか細くて一言一言が震えて聞こえていた。
一体何があったのだろう。
すごく知りたいけれど、雫にだって言いたくない事1つや3つあるだろう。
だからあえて今日は雫が話さない限りそっとしておく事にした。
颯太君の声を聞くとすごく涙が出そうになりグッと堪えるのに必死で声が震える。
颯太君はすごく私の事心配してくれているのがめちゃくちゃ伝わってくる。
だから私は颯太君にさっき事を話す事に
した。
「颯太君…私…。」
「雫!?」
「本当に大丈夫か?」
「何があった…。」
「あのね…私…木梨家の子じゃない。」
「えっ?」
一体どう言う事だ?
俺は雫からの言葉を聞き頭部を1発物で殴られたくらいの痛みと衝撃が身体中に走った。
木梨家の子じゃない?
俺はそれを聞いてゾッと嫌な予感が過ぎる。
「さっき兄ちゃんが書類棚を整理」
「していて、その時に母子手帳が」
「出てきたらしくそれを見るところに」
「私はたまたまお茶を飲む為にリビング」
「に降りてきたら兄ちゃんが固まって」
「たからなんだろって気になって」
「兄ちゃんの傍を覗いたの。」
「そしたら、母子手帳を持ってたから」
「見せてって言って兄ちゃんから」
「母子手帳を奪ってページをめくると」
「私の母子手帳だとわかったのだけど」
「そこに記入されているお母さんの名前」
「が違う人で私の名前の名字も木梨」
「じゃなく違う名前の藤田雫に」
「なってた。」
「マジかよ…そんな…。」
「雫、辛いよな…。」
「うん…正直言ってかなり辛い。」
「だけど、私の記憶はここで育った」
「記憶しかないし、お母さんとお父さん」
「兄ちゃんと血が繋がってないとしても」
「私は家族が大好きなの。」
「きっと、何か理由があったんだと思う」
「から今日お母さんとお父さん帰って」
「来たら話し合おうと思うんだ。」
「だから颯太君ごめん…」
「今日は会えない…。」
「俺の事は気にするな。」
「そっちのが大事な事だからな。」
「雫の気持ちちゃんと親にぶつけて」
「納得いくまで話しした方が」
「良いからな。」
「颯太君ありがとう。」
「私、ちゃんと話ししてくる。」
「また落ち着いたら話し聞かせて。」
「俺はいつだって雫の味方だから。」
「わかったありがとう。」
「颯太君と話せて元気少し戻った。」
「それじゃ、また。」
「うんまたな。」
私は電話を終え、再び掃除に没頭した。
そして約1時間ほどで掃除を終えて私と兄ちゃんはお父さんとお母さんの帰りを
待っていた。