初恋物語~大切な君へ
「雫、手加減したでしょ?」
「うん。」
「だって、本気でしたらすごく」
「痛いでしょ?」
「雫は本当、優しいな(笑)」
「えっ?普通だよ?(笑)」
「あっ、颯太君そろそろ私帰らなきゃ。」
「本当だな…寂しくなるな。」
「うん…。」
「前もね、感じたんだけど颯太君が」
「私のお家に遊びに来てくれたでしょ?」
「その時ね、颯太君が帰った後私の部屋」
「がシーンっと静かになってどこか」
「部屋中が冷たく感じてすごく寂しく」
「なっちゃった。」
「それは俺も前から感じてた事だよ。」
「だから今日もこの後雫が帰った後、」
「俺のこの部屋はポツンと乾いた空気」
「だけが残ってしまうなぁ…。」
「それにな?いつもあれだぞ?」
「雫の家から帰る最中だって」
「寂しいんだからな?」
「それは私だって同じよ。」
「ずっと一緒に居たいって欲ばかり」
「増えて自分でも驚いているんだから。」
「雫からそんな言葉聞けてすげー」
「俺幸せだなぁー愛されてるんだなぁ」
「って今超絶に嬉しいよ。」
「一時は寂しいかもしれないけれど」
「その分また、次にその寂しい分以上」
「沢山一緒に居ような?」
「もちろんだよ!」
「私だって沢山一緒に居たい気持ち」
「溢れるくらいなんだから(笑)」
「わかってるよ(笑)」
「雫そろそろ帰らなきいとお母さんに」
「怒られるだろ?」
「駅まで送ってく。」
「うんいつも颯太君駅まで送ってくれて」
「ありがとう。」
「俺が送りたいだけだからな(笑)」
「わかった(笑)」
「雫忘れ物ない?」
「まぁ、忘れても明日渡すから」
「安心して。」
私と颯太君は颯太君の部屋を出て
玄関へと足を進めた。
颯太君の家は初めて来た以来から何度も来るようになったけど家の広さに今も慣れない。
玄関に行くまでに階段を3段階降りないと行けないのだ。
こりゃ、もし私の家がこんなに広かったら
お母さんやお父さん、兄ちゃんを探すのに
一苦労だなぁと思ってしまった。
そんな事を思っているとようやく玄関に辿り着いたけれどそこには思いがけない人が
立っていた。
「颯太…。」
そう呼びながら私の方向に視線を向ける
人物がいる。
「父さん…。」