初恋物語~大切な君へ
「颯太の隣にいる女性の方は誰だ?」
そう颯太君のお父さんが颯太君に
驚いた表情で問いかけている。
私も颯太君のお父さんには今日ここで初めてお目にかかった。
私の心臓は今すぐにでも口から飛び出そうな程緊張している。
だけどちゃんと私から自己紹介しとかないとと思い、私は精一杯勇気を振り絞り
自己紹介をした。
「初めまして木梨雫と申します。」
「颯太さんとは仲良くさせて」
「頂いてます。」
「初めまして…ご丁寧にありがとう。」
「私は颯太の父、吉川誠です。」
「いつも颯太と仲良くしてくださり」
「ありがとうございます。」
「いえ…いつも颯太君にはお世話に」
「なりっぱなしで…。」
なんだろ…この違和感…。
颯太君のお父さん、言葉は優しいのだけれどなんだか表情と言葉が別の感情で動いているという感覚になる。
顔の表情は冷たく私を見ているのだけど
言葉はきっと社交辞令で言っているんだなぁと感じた。
「父さん、雫とは仲が良いと言うか」
「俺達付き合ってる。」
「俺の彼女なんだ。」
「は?」
そう言いながら颯太君のお父さんは、
先程とは違いより一層顔の表情を冷血な
冷めた目で私と颯太君を見ていた。
「父さん、俺の初めて好きになった」
「人でこれからもこの先もずっと」
「雫と一緒に歩んで行くと決めて」
「いるから…。」
「わ…私も颯太君が初めて好きになった」
「人で颯太君はダメな私を変えてくれ」
「たかけがえのないとても大切な」
「人です。」
「なっ!!!」
俺の父さんはあまりにも突然の俺達の
発言に驚いてるようだった。
言葉も出ないくらいに相当びっくりしているのだろうと感じた。
だけど俺は丁度良かったと思う。
中々こんな機会はないだろうと思っていたからだ。
父さんは中々時間が取れない人だから…。
今日たまたま雫と父さんが会ったこの日しかないと俺は思った。
「父さん、雫を駅まで送ってくるから。」
「………。」
「おっ…お邪魔しました。」
こうして私と颯太君は家を出て駅まで歩き出した。
すると緊張が解けたのか身体の力が抜けてしまい丁度颯太君の家が見えないところまで来た場所で身体が崩れ落ちた。
手を繋いでいた颯太君は私が崩れ落ちた事により颯太君まで崩れ落ちる。
「わっ!」
「ごめん…颯太君。」
「雫!?」
「大丈夫か?どした?体調でも悪く」
「なったのか?」
「ううん…体調は全然大丈夫。」
「ちょっとさっきまさか突然」
「颯太君のお父さんに会って」
「挨拶すると考えてなかったから」
「緊張しちゃっててそれが終わったから」
「今度は緊張が溶けて身体の力が抜けて」
「崩れ落ちちゃった。」
「雫ごめん、驚かせてしまったな。」
「まさか父さんがこんな時間帰って来る」
「とは思わなくてさ。」
「それにちゃんと日を決めて紹介」
「したかったんだけどイレギュラーに」
「なってしまった。」