初恋物語~大切な君へ
木梨さんはどこにいるのだろ。
俺は店周りを歩いて探した。

「颯太待てって。」
「もし違ってたらどうすんだよ。」


「違うはずがない絶対木梨さんだよ。」



「ったくぅー颯太はもう重症だな(笑)」



俺は1つ見ていない場所に行った。
そこはキッチンの横の隅にある2人席が3席ある場所。

もうこの時には周りの音や声などが途絶えた。
そして俺の足音と木梨さんの楽しそうな弾んだ声だけが俺の頭に響く。
そしてスローモーションにどんどん俺は木梨さんに近付いた。

コツッ コツッ コツッ

木梨さん…。

やっぱり木梨さんじゃん。
良かった。







私は兄ちゃんとやっとお店に入る事ができ
キッチンの横にある隅っこの2人席用の席に店員さんに案内され、腰をおろした。
そしてどのパンケーキにするかメニューを
見ていた。
そして、食べたいパンケーキが決まり私達は注文した。
その時やけに店内が騒がしい。
そして2人の足音が私達のところに近付いてきた。
私は近付く2人を見た…いや…見てしまった。
ウソ…なんで…いるの…?



「木梨さん!」
「木梨雫さん!」



「つっ!」



「雫?」
「知り合いなのか?」




俺の前にいる金髪の男…確か俺と雫の学校で学校1イケメン御曹司王子って言われている…。
でもなぜ雫のこと知ってる。
同じクラスだからか。
だからと言ってなんで雫の前に現れるんだ。
この時俺の体全身に胸騒ぎと嫌な予感がした。


「木梨さん」
「やっと会えた。」



「あの、俺の妹になんか用?」




「あっ…」
「あっ…」

俺と慎吾は同時思い出した。
この人は俺達の学校で1つ上の学年の
2学年No.1のイケメンと言われる人だった。
木梨さんの兄だったとわ…。



「用は特にないんですが、」
「たまたま通りかかったら木梨さんが」
「ここに入って行くのを見てお店に」
「入ったら俺の父の経営している」
「お店だったんで見学のついでに挨拶を」
「しておこうと思いまして。」




「それはわざわざ俺の妹に挨拶どーも。」
「それで?」
「俺の雫との関係は?」
「彼氏とかでもなさそうだね。」


ちょっと!兄ちゃんなにピリピリしてるの?!
私はいつもの兄ちゃんの表情と違う兄ちゃんと兄ちゃんがなぜこんなに攻撃的に言うのか不思議で仕方ない。
って言うか私に挨拶なんてしてもらえる関係でもないのになぜ挨拶してくるのか理由がわからなかった。
もう訳がわからない。
一体どーなってんの!?



「兄ちゃん!?」
「吉川颯太君とはクラスメイト」
「なだけだよ!」




ズキっと俺の心臓が少し悪戯をした。
本当の事だけどそんなキッパリただの
クラスメイトって言われるとちょっと
痛いな。
でもそう思うのは今だけ…。
これからどんどん木梨さんの心を開けて
俺を好きになってもらう。
だから今だけの我慢だ。



「はい。」
「俺と木梨さんはただのクラスメイト」
「なだけです。今だけですけど。」
「これから仲良くなるつもりなので」
「お兄さんに挨拶もできて」
「良かったです。」
「でわ、俺と慎吾はこの辺で。」

俺は言う事だけ言ってその場を去った

半分お兄さんに対する挑発になったかもしれない。
遠回しにゆくゆくは雫さんを貰いますと言う意味を込めてあの言葉が出たのだ。
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