初恋物語~大切な君へ



私は自分の席に着くとスマホを取り出し、
気を紛らわそうとする。
なに?この緊張感…早く学校終わらないかな…。
そんな事を心で願っていたら突然話しかけらていた。




「木梨さんおはよう。」



私に向かって小声で挨拶してきた
小声の正体は吉川颯太君だ。
吉川颯太君は私の正面に向かい合わせてとなって座っている。
そして、私の机に両肘をつきこちらを見てくる。
その瞬間再び心臓がバクバクと脈打つ。
かなりのスピードで…。
顔が見られない…。
私おかしくなったのかな?

「おっ…おはようございます。」

これが精一杯の私の発する挨拶だった。
私がずっと俯いたままに対して、相手は
私の方を見ているのが視線で伝わる。
一体どーなってるの?
これは非常にマズイのでは?
クラスの人に見られたら!
私はチラッと教室の周りを見渡す。
今のところは気付かれていないようだ。
お願いこのまま気付かれてませんように。
私は必死に神様にお願いした。


「木梨さん、こっちを見て」
「俺の方。」


何でそっとしといてくれないの?
昨日も今日も何で私に話しかけてくるの?
私に関わるとろくな事ないんだから。
私…あなたの事苦手なんだからそっとしといてほしい。
そんな私の願いは届かず、仕舞いには
右手首を触れられていた。
思わずビックリして私は吉川颯太君の
顔を見る事になってしまったのだ。


「!なんで?」



「おはよう、木梨さん。」
「やっとこっち向いてくれた。」
「あのさ、今日放課後体育館裏来て」
「くれないかな?」
「話したい事あって…。」



「えっ…?」
「話したい事…ですか?」



「そう話したい事。」
「悪い話とかじゃないから」
「怖がらないでほしい。」



「でも…。」


「来るまで待ってるから。」


「私…行かな…」

私は行かないですと返事をしようともつかぬ間遮られていた。


「木梨さんは来るよ!絶対。」



木梨さんはきっと行かないと応えることはわかっていたから言われる前に絶対木梨さんは来るよとあえて言った。
俺はなんてズルいんだ。
木梨さんはきっと来る。
優しくて真面目でお人好しだから。
きっと俺の事気にかけてくる。
そう願いたい思いを込めてそう言葉にしていた。

「なんで?…どうして?」

私は一体どーしたら良いの?
頭が追いつかない。
そんな私の気持ちもつかぬま担任の先生が
教室に入ってきた。


「それじゃまた放課後ね。」


先生が教室に入ってきたから俺は、
木梨さんに根を押してそのまま黒板の前に
向いた。


「どうしょう…どうしょう…」

私は何度も同じ言葉を繰り返し、時間も
ちゃくちゃくと過ぎて行く。
授業すらまともに頭に入らない…。
得意な英語の授業さえも問題当てられて
答えられないなんて初めてだった。
< 28 / 155 >

この作品をシェア

pagetop