初恋物語~大切な君へ
第4章 突然の訪問者
新しい友達が出来て早くも1ヶ月が経とうとしている。
11月の終わりに入り肌寒い季節と言うより寒い季節に変わっていた。
私は颯太君達と友達になった夜、兄ちゃんに友達になった事を話していた。
あの時の兄ちゃんは凄く驚いていたように見えた。
と言うか颯太君達と友達になった事を報告するとあまり嬉しくは思っていないようだった。
兄ちゃん、妹に新しい友達が出来たんだよ?
嬉しく思わないの?と私はその時質問していた。
兄ちゃんからは少し言葉に対しての表情が
ズレていた。
「雫がそれで楽しく学校生活送れるなら」
「それで良い。」と言ってくれていたのに
表情は喜んでくれてるようには見えなかった。
私には謎すぎてわからない…。
だけど優しいところは変わらないのだ。
今日は11月末の土曜日。
今日は家族で隣の県に住んでいるお父さん
側のばーちゃんの家に泊まり行く日だ。
1泊2日で日曜日の晩に帰る計画。
先週の月曜日の昼下がり家に1本の電話が入った。
この時間は専業主婦のお母さんが家にいるのでお母さんが対応した。
電話の相手はお父さん側のばーちゃんからで今朝畑を耕していると突然腰痛に襲われたそうだ。
その事もあり久しぶりに今週の土曜日と日曜日お父さんもお休みで家族でばーちゃん
のお見舞いとお世話をしに行こうと計画が立った。
そして今日がその日。
朝10時に出発なのだが…。
今時計の針は9時の方向を指している。
準備しなきゃ…って思うのだけれど
身体が重くて動けないでいる。
それに、少し身体中が熱くボーッとする。
「頭痛い…。」
そんな中スマホのランプが光っている。
きっとLINEだろう。
だけど今は見る気になれずそのまま再び
眠りに負けて目を閉じてしまった。
「優馬、雫はもう起きているのか?」
「あれ?まだ起きてきてないの父さん。」
「まだ見てないぞ。」
「後、30分後には出発だから起こして」
「来てくれないか?」
「わかった。」
俺は2階の階段を上がり雫の部屋を目指した。
ここ最近の雫は楽しそうだ。
吉川颯太と友達になってから徐々にだけど
明るくなったと思う。
あのイジメ以来雫は、学校行ってる時沈んだ表情していたが最近は俺や美桜といる時のような笑顔さえもアイツに見せている。
嫉妬を抑えるのに必死で俺は最近、悩んでいる。
どう雫と接したら良いのか…。
普通にしてはいるけれどぎこちないところもあるだろう。
ただ唯一安心するのは家に雫がいる時だ。
唯一、俺と雫が一緒に居れる時間。
さて、お寝坊の雫を起こしてやるか。
「雫入るぞ。」
3回ノックをし、雫の部屋に入る。
やはり雫はベッドの中で眠っていた。
俺はそっと雫のベッドに近付いた。
雫の寝顔が俺の心臓を動きを早くする。
吸い込まれるような寝顔に俺は見惚れて
雫を起こすと言う任務を忘れていた。
雫…好きだ…この気持ちどうしろと言うのだ。
そんな俺の気持ちも知らないで、こんなに
可愛い寝顔見せて。
デコピンでもしてやらないと気が済まなくなり更に雫の顔に近付いてベッドに俺は
両手を置き俺の体重がベッドにのしかかる
とベッドからギシッと音が響く。
それでも雫は起きやしない…。
それどころか雫の小さい唇からか細い寝息が漏れる。
俺の心臓は更に加速しバクバクと身体全体に行き届いていた。
ダメだ…ダメだ…俺は何しようとしているんだよ!
ずっとこれだけはダメって守って来ていたのをここで破ってしまうのか?
キスしたらあとには戻れなくなっちまう…。
だけどもう手遅れだった。
俺は雫が起きないのを確信し、
ゆっくりと柔らかい小さな唇に俺の唇を重ねていた。
雫の唇の体温がジンジンと俺の唇から身体全体に行き届く。
俺自身も初めてのキスだがきっと、
雫自体も初めてのキスになっただろう。
いけないこととわかりながらももうしてしまったのは戻れない。
ごめん…雫…。
俺はだんだん身体が火照るのを感じこのままでは危険だと感じゆっくりと唇を離した。