初恋物語~大切な君へ
※颯太side※


俺はそう言って電話を切った。
そして、電話を切ると一緒に俺の部屋は
一気に静けさと寒さが混じり合っていた。
暖房を付けていない部屋は初冬の肌寒さが
染み渡っているのにも関わらず、
俺の身体中は熱い。
さっきのやり取りできっと興奮状態になっているのからである。
お兄さんとはいえ雫の頭を撫でてるのところを想像しただけで胸が張り裂けそうな
思いになる。
ジリジリと熱く痛い…。
お兄さんに嫉妬してても意味ないのに。
雫は妹…そして木梨優馬は兄だ。
絶対俺が考えてる事はあってはならないし
きっと違うはず。
可愛い妹だからこそ頭を撫でていた。
きっとそうだ。
そう信じる事にして、嫉妬をグッと押し殺した。
そして何より雫の体調が心配だ。
俺は居てもたってもいられなくなり雫の
家に行く支度をした。

コンコン

「颯太様宜しいでしょうか。」

支度をしているとお手伝いさんがノックを
する音とそして声が聞こえた。


「藤井さん大丈夫だよ。」


「失礼致します。」
「颯太様にお父様から伝言と」
「お部屋のお掃除に伺いました。」


「藤井さんいつもありがとう。」
「親父からの伝言って?」

「はい、お父様今日はお帰りになれない」
「から夕食はお母様と食べるようにと」
「の事です。」


「了解。」


「颯太様どこかお出かけ」
「なさるのですか?」


「うん。」
「大切な人が体調悪くてお見舞いに。」


「ふふ」


藤井さんはにっこり笑顔で俺を見ている。
なにかおかしなこと俺言ったのか?
っと不思議に思っていると…


「颯太様恋をしていますね。」
「颯太様は最近たくさん楽しそうで」
「笑顔が増えました。」


「そうかな?」


「はい!」
「颯太様の恋、わたくし応援してます。」
「恋は強い力を発揮します。」
「後悔のないように」
「青春してくださいね。」


「ありがとう藤井さん!」
「俺、めちゃくちゃ頑張る。」
「ところで藤井さん、お見舞いに持って」
「行く物何が良いと思う?」


「ご体調よろしくないのではあれば」
「消化の良い食べものが良いかと。」
「例えば、ゼリーやアイスクリームなど」
「なんてどうでしょう?」
「後、お花とかもオススメですよ。」



「さすが藤井さん!」
「ありがとう!」
「助かったよ!」


「颯太様、お気をつけて」
「行ってらっしゃいませ。」



「行ってきます。」



俺は藤井さんに見送られて家を出た。
そして最初にスーパーに寄り道をし、
ゼリーの詰め合わせとアイスクリームを
何種類か買った。
そしてその後は花屋さんに寄り道をする。
この街でそこそこ有名な花屋さんである。
店内のお花を選んでいた。
どれが良いのだろう…。
確か花は1つ1つに花言葉があったはずだよな。
そう考えているとふと1つ花に心を奪われた。
その花はピンク色をしていて少し下に向きながらいくつもの花びらが咲いている。
その花にはテディベアが抱えていた。
植木鉢ごとテディベアが抱き抱えている。

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