初恋物語~大切な君へ

「お客様ご来店ありがとうございます。」
「その花お気に召さいましたのですか?」



「あっ、はい!凄く綺麗だなと。」
「テディベアも可愛いし。」


「お客様はとても大切な愛する方に」
「贈り物をする形でしょうか?」



「へっ!?」

店員さん、エスパー?って思うほど的確だった。
どうしてわかったのだろう。


「店員さんどうして知ってるんですか?」


「その花はねピンク胡蝶蘭と言って」
「花言葉はあなたを愛してますと言う」
「意味なんですよ。」
「きっと彼女さん喜ばれますよ!」

「そうなんですか!?」
「じゃ、これに決めます!」
「あっ、まだ彼女ではないのですが…」
「これから彼女になるので。」


「素敵なお話しありがとうございます!」
「その愛、実と良いですね!」
「私も心を込めてラッピング致します!」



俺はお金を支払い、ラッピングされた胡蝶蘭を持って店を出た。
そして雫の家まで片道45分かかる。
この前、学校帰りに雫を送りに行った事で
知った。
学校から30分で雫の家には着くが俺の街からだと45分はかかるのだ。
でも全然苦ではない。
45分で雫に会いに行けるのだから。
電車の乗り継ぎは2回で雫の最寄り駅から徒歩5分程で着く。
俺は雫にLINEで一言送っておいた。
今から家に行くと。
電車に身体を揺さぶられながら着々と
雫の元へ向かって行った。


※ 颯太編※ end










「雫、母さん呼んで来るから。」
「大人しく寝てろ。」


そう言って兄ちゃんは私の部屋を出ていき
階段を降りていく音がした。
一体誰だったのだろう…電話。
美桜?とか?
でも美桜の時ならわざわざ雫の兄って名乗らないよね。
じゃ、一体誰?
増田君?それとも近藤君?
それとも颯太君?
あっ、スマホ見ればわかるんだった。
私はスマホを確認しようと試みたけれど
スマホは私の勉強机に置かれていた。
だけど私は勉強机の所まで行ける元気がなくスマホを確認すると言う行動は諦め
大人しくベッドで横になっていた。
間もなくすると階段を急いで駆け上がる音が私の部屋中響き渡っている。
そしてお母さんとお父さんそして再び
兄ちゃんが部屋に入って来た。


「雫!」
「優馬から聞いたわよ。」
「ちょっと熱計りなさい。」

私はお母さんに言われるがまま熱を計った。
大丈夫だよ…そんな言う程熱はないし。
身体が少し熱いのと頭が痛いだけだよ。
そして、左脇の下に入れていた体温計が
音で知らせた。
そこに記されている温度は37.9度だった。

「37.9度だよ。」



「まぁまぁ熱あるな。」
「今日、行くの中止にするか。」
「母に電話してくる。」

中止?
それは駄目だよお父さん!
ばーちゃん凄く楽しみにしてた。
昨日の夕方ばーちゃんから電話が来ていて
私はばーちゃんと電話で話を聞いてきた。
ばーちゃんはこの日を凄く楽しみで腰痛いのも我慢できるくらい私達が来るのを待ち望んでいる。
それもそうだよ…会うの1年振りだもの。
お父さんの仕事が忙しくなかなか家族揃ってでは会えないでいた。


「お父さんダメ!」

私は思わず大きな声で叫んでいた。


「雫?」



「ばーちゃんこの日をものすごく」
「楽しみにしてたの。」
「みんなにようやく会えるって。」
「腰の痛いの私達に会えるって思う」
「だけで痛みを我慢できるって。」
「お願い、私は家で大人しくしてるから」
「お父さん、お母さん、兄ちゃんで」
「行ってきて。」
「みんな行かないって言ったら」
「ばーちゃん凄く悲しむし落ち込むよ。」
「そんなの嫌だもん!」


「美沙子どうする?」
「雫こう言ってるけど。」


「雫は安心してられる?」


「うん!ばーちゃんが悲しくならないの」
「なら安心して安静に寝てられるよ。」


「わかった。」
「それなら絶対安静に寝てる事。」
「そしてちゃんとお薬は飲む事良い?」
「体調が悪くなりそうなら直ぐに」
「連絡すること。」
「私達は雫もとても心配なんだからね。」



「うん約束する。」



「母さん、俺も残るよ。」



「兄ちゃん!?大丈夫だって。」
「逆に1人の方が今日は落ち着くの。」
「お願い…。」
「それにばーちゃんが兄ちゃんの事」
「心配してたよ?」
「バイトで忙しくしてるみたいだけど」
「大丈夫なのかって。」
「行って元気な姿見せてきてあげて。」


「わかったよ…ったく。」
「雫は意外と頑固だからどんだけ」
「俺が残るって行っても行かせるだろ?」
「人のことの心配するより雫も」
「自分の身体いたわれよ。」



「労るから私は家に残るんだよ?」



「はいはい。」
「今日は雫の言う事聞いてやるよ。」


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