初恋物語~大切な君へ
「雫本当にちゃんと寝てなさいね。」
「明日早めに帰ってくるから。」
「わかったお母さん達も気をつけて」
「行って来てね。」
「ばーちゃんによろしくね。」
「それじゃ、行ってくるわね。」
「行ってらっしゃい。」
こうして木梨家の私以外はばーちゃん家に
行く為に家を出発した。
「はぁ…私も行きたかったなぁ。」
今日は大人しく寝ていよう。
私は再び重たい瞼を閉じた。
御料車ありがとうございます。
次は西谷~西谷です。
俺は電車を乗り継いでようやく次で
雫の最寄り駅、西谷駅に着く。
スマホをポケットから取り出し確認するが
雫からまだ既読が付いていなかった。
きっとしんどくて寝ているのだろう。
後あれだ!雫のご両親に挨拶をどんな風にすれば良いのか何も考えていなかった。
やばい…今になって肝心な事に気付くなんて…。
後、お兄さんいたらどんな風に接すれば良い?
電話の時のお兄さんは声でわかった。
俺に対する敵意な感情がある事。
そして、必要以上雫に執着があるのは違いない。
でも、俺は引き下がらないし諦めない。
とにかく自然で行こう…。
そう決意と共に電車は西谷駅に着いていた。
電車を降り、改札口で切符を通して西出口の階段を下り横断歩道を渡れば後は直進に
歩いて行けば雫の家に到着する。
俺はその経路通りに足を進めて歩いて行く。
歩いて7分後雫の家の前に辿り着いた。
よし!インターフォンを鳴らそう。
「ピンポーン」
誰が出てくるのか少し心臓がバクバクと
緊張の音を奏でている。
やばい…いざインターフォン押して家の人がくるのをこんなにも緊張しながら待つのは初めてだ。
………あれ?
木梨家からは誰1人も出てくる気配がない。
もう一度俺はインターフォンを鳴らす。
「ピンポーン」
俺はもう一度鳴らししばらく待ってみることにした。
「ピンポーン」
私は少し深い眠りについていたが、インターフォンの音で目が覚めた。
んんーー!
私は気怠い身体を無理やり起こし、自分の部屋を出て1階の玄関まで階段を降り向かった。
お父さん誰かな?
忘れ物でもしたのかな?
朝、私の事でバタバタしてたから忘れ物くらいするよね。
ゴホン…ゴホン咳が出始めてきている。
完全にこの症状は風邪だと思った。
玄関に行く前にリビングにあるマスクを取り出し装着し再び玄関へ向かった。
私は重い玄関の扉を開けるとそこには
予想外の訪問者が目の前に立っていたのだ。
「はーい今開けるから待ってて」
「ガチャ」
「お父さん忘れ…!!??」
「そ…颯太君!」
「ゴホゴホ…ゴホゴホ…。」
玄関が開く音がした。
いよいよ誰かが出てくる。
ちゃんと挨拶しないとな…。
「初めまし…て…って雫!?」
「大丈夫か!?」
「咳き込んでるじゃん…。」
「ちょっと今日体調悪くて…。」
「それより颯太君どうしたの?」
また私は身体がフラフラしてきた。
今日は長時間立てないかもしれない。
「俺、今日雫に電話したら」
「お兄さん出てさ…」
「雫は体調悪いから電話には出れない」
「って言われて心配でお見舞いにきた。」
「電話…颯太君だったんだ」
「ゴホゴホ…」
「謎が解けた…兄ちゃん何も教えて」
「くれないから…。」
「颯太君上がって。」
「体調が悪いからあまり元気に」
「話せないけど。」
私はその言葉を言うので精一杯で、再び
頭痛と身体がフラフラする。