初恋物語~大切な君へ

「任せろ!」
「ほれ、また俺の背中に乗っかりなよ。」



「えっ!?」
「またおんぶ!?」



「あれ?雫、おんぶだけじゃ」
「物足りなくつまらないか?」



「ちっ!違う!」
「そうじゃなくて!」
「もっとこう、違う運び方とか。」



「例えば?」


「私が、颯太君の肩を借りて支えて」
「もらいながら歩いて部屋まで行く」
「とか…。」
「本当だいぶん歩けるまで意識」
「しっかりしてきたから。」



「ふーん」
「雫がそれで良いならそうするよ。」
「はい!肩掴まって。」

「わかった…。」


俺はもっと雫に触れたくてたまらない。
独占欲が意外と強いんだ俺…。
だからなのかおんぶする事2回目は拒否られてしまったのがすごく凹んで、凹んだかと思ったら雫を困らせたくなってしまう。
ここで肩を支える動作したと思いきや抱っこされる雫の反応を見たいと心の小悪魔の
俺が出てきていた。
もうこうなったらでは遅かった。




私はおんぶはどうしても恥ずかしくて
たまらなくてとても平常心ではいられない…。
普通に肩を借りて支えてもらいながら歩くほうがまだ心拍数も正常範囲内で治まるのと颯太君が重さの負担にならなくて済むと思い、私が出した応えだ。
なのに、颯太君はそれを許さなくて
とんでもない状態で私は部屋まで運ばれる事になってしまった。

私は言われるがままに颯太君の右肩に手を置いた。
そして1歩だけ進んだところで私はお姫様抱っこされていた。


「キャッ!」
「そそそ颯太君!?」
「ちょっと下ろして!」

颯太君のバカ!/////
私この状況どうしたら良いの?
意地悪すぎるよ!
こんなのキュンキュンになるの決定事項
じゃん…。
今までの女の子にもこーゆ事してきたの?
少しモヤモヤした気持ちキュンキュンの
気持ちが混ざり合うこのなんとも言えない
気持ち…初めてだよ…。
美桜~私変だよ!助けて~!



「ヤダ下ろさない。」
「雫が悪い…おんぶを拒否るから。」



雫が俺の右肩に手を添えて1歩、歩いたすぐそのまま抱き抱えお姫様抱っこと言うのをしていた。
雫を持ち上げるのは全然難しくなかった。
おんぶをした時もそうだけど、ひょいっと
軽々持ち上がったのだ。
雫…ちゃんと飯食ってる?って問いたいくらい。
俺は雫の顔を見下ろすとやはり真っ赤に
染まってる雫が眼に映し出された。
本当…反応良すぎる…。
こんなんじゃ期待してしまうし、もっと
赤く染まる雫が見てみたいと思ってしまう。
俺だけに見せて欲しい…。



「颯太君!早く下ろして!」



「もう2階に着いたぞ。」
「雫の部屋どっち?右?左?」


「あっ…右だよ。」


私は結局下ろしてもらえないまま
自分の部屋までお姫様抱っこされていた。
颯太君はそのまま器用に私を抱き抱えたままドアノブを回しゆっくりと扉が開く。
そしてそのまま部屋に入りゆっくり
ベッドに下ろされた。


「颯太君…ありがとう。」



「素直でよろしい(笑)」
「雫の部屋、雫ぽいな(笑)」
「森の中にあるカフェみたい。」
「俺の親父が好みそうだ。」


「私のお父さんね建築の仕事してるの。」
「この家の設計もお父さんがやった」
「んだって!」


「雫のお父さん凄いな!」
「今度うちの親父にお父さんの建築」
「会社紹介しとくよ。」

そう言って俺は雫の部屋をは見渡していた。
見渡しているとアンティークな焦げ茶色のタンスの上にいくつかの写真立てに飾られてある写真が目に止まった。

「雫、タンスの上の写真見て良い?」



「あっ、うん良いよ。」
「昔の写真だけど。」

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