初恋物語~大切な君へ

「えっ?どーゆう事?」



「雫さぁ、この別荘で夏休み過ごして」
「た時の事覚えてる?」



「うん記憶はポツポツだけれど…。」



「じゃ、この別荘で誰と良く遊んでた?」


「兄ちゃん…あっ、待って。」
「お昼はよく1人で近くの海に行って」
「1人で最初は遊んでいたのだけど」
「ある男の子に話しかけられたのが」
「きっかけで旅行までの間毎日、」
「海で遊んだり、お互い泊まっている」
「別荘の庭で遊んだりしていた。」



「ある日その女の子は綺麗な桜色をした」
「貝殻を見つけて男の子にプレゼント」
「してなかった?」


「したと思う…。」
「どうしてそれを?知っているの?」


「雫って本当鈍いよな(笑)」
「その男の子俺だよ…。」
「俺、その貝殻を御守りとして財布に」
「入れてある。ほら…」


颯太君はそう言って財布から貝殻を手に取り私に見せてきた。
驚きの事ばかりで声が出ないほどびっくりしている。
うそでしょ…あの時の男の子は颯太君だったの?
幼稚園の頃私は夏休みを親戚の別荘で過ごしていた。
朝はいつも兄ちゃんと遊んでいつも意地悪されてたっけ。
お昼は兄ちゃんはお父さんに小学1年の勉強を教えてもらっていた為、
私は別荘の近くにある海で1人で絵を描いたり、貝殻集めたり、大声で歌を唄ったりして遊んでいた。
そんな毎日のある日、私はいつものように
海に行って浜辺で1人で水遊びをしていたら突然男の子に話しかけられていた。
「1人ぼっちなの?」
「1人は寂しいよ?僕と友達になろう。」
そう言って私達は毎日遊ぶようになって
いた。
時には帰り遅くなってお母さんに怒られた事もあったなぁ。
とある日私が海に着くのが早く、1人で貝殻集めをしていたら桜色にキラキラ光輝く
物が目に止まった。
その光輝く砂浜に行くとそこには小さな桜色の貝殻が1つ落ちていた。
それを拾うと一緒のタイミングに男の子は
私の傍にやってきた。
そして私はその男の子に貝殻をプレゼント
していた。
お友達としての印をあげたくなったのかも
しれない。
だけど次の日私達家族は急遽家に帰ることになったのだっけ。
おじいちゃんが心臓発作で倒れ、病院に運ばれたとおばあちゃんから連絡が入り、
午前の飛行機で別荘を後にした。
そう…男の子に別れの挨拶も出来ないまま。

「本当…だ。」
「こんな偶然あるんだ…。」
「あの当時名前も知らないし、颯太君」
「髪も黒髪だったから」
「まさかあの男の子が颯太君だなんて」
「気付かないよー。」


「確かにな(笑)」
「でも俺は似てるなぁとは思ってたよ。」
「っで幼稚園の雫の写真みて確定した。」
「雫に貝殻もらった次の日、いくら」
「雫を待っても海辺に来なくてさ」
「心配で雫の別荘に行ったら誰も」
「いなくなってた。」
「あの時、何も言ってくれなかった」
「寂しさ半端なく辛かったよ(笑)」
「初恋相手が急にいなくなって」
「そこから1度も再会出来なかった」
「からさ。」


「初恋!?」



「そうだよ、俺の初恋の相手は雫で」
「今も大好きで現在進行形で」
「また雫を好きになってたんだな!」
「ところでさ、あの時何故」
「いなくなったの?」



「颯太君そんなに想ってくれて」
「ありがとう。」
「あの時はね、あの晩にお母さんの」
「携帯にお母さん側のおばあちゃん」
「からおじいちゃんが心臓発作で倒れて」
「病院に運ばれたと連絡がきて」
「次の日の朝1番の便で飛行機に乗って」
「帰らなくちゃ行けなくなったの。」
「だから次の日行けなかったの。」




「そうだったんだな。」
「それじゃあの時、別に俺の事」
「嫌いになった訳じゃなかったんだな?」


「嫌いなんてなかったよ!」
「別荘での思い出はずっと」
「私の中で生きてたし、男の子の事も」
「心配だったの…。」
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