初恋物語~大切な君へ
「それを聞けて安心した。」
「颯太君ちょっと私眠たくなって」
「きちゃった…」
「少し寝るね…。」
「雫ごめんな…話しかけたせいで」
「寝れなかったよな」
「ううん全然いいの」
「なんだか緊張してなかなか」
「眠れなかったけど今、ようやく」
「眠気がきたから寝ようと思って。」
「ゆっくり寝てね。」
「雫おやすみ。」
雫は俺のおやすみの言葉も耳に入らない
まま寝息をたて深い眠りに入った。
そして残された俺はずっと雫の傍から
離れなかった。
俺はさっき会話したのを整理していると、
ふと雫の言ってくれた
「嫌いなんてなかったよ」や
「そんなに私の事想ってくれて」
「ありがとう」
って言葉を聞けるなんて予想していなかったかりすごく舞い上がりそうで、
俺…雫に嫌がれていなかったんだなぁと
感じると安堵のあまり泣きそうになる。
今ゆっくりだけど確実に良い方向に俺らの
関係が進んでいると思う。
どんどん愛おしいくてたまらなくて、
雫に触れたくて恋しくて…
こんなにも俺自体が雫を通して変わるなんて思ってもみなくて何もかもが新鮮な新しい世界にいるようなそんな感覚だ。
なんか…これ…ある意味試練だよな。
目の前に寝息をたてて気持ち良さそうに
微笑んだ寝顔で眠っている。
そんな雫の唇にキスしたくてたまらない。
抱き締めたくて俺の全身が熱くなる。
だけど俺はグッと堪える。
寝ている時にそんな事したらダメだ。
ちゃんと俺の傍で安心して寝てくれているのに…。
グッと俺は我慢し、理性を取り戻した。
危なかった…。
そして雫が眠りに入って3時間が経過していた。
雫の部屋のデジタル時計は16時30分と表示されている。
その5分後、雫は深い眠りから旅を終え
俺の元に帰還した。
「ふぁ~」
私はあれからどれだけ寝たのだろう。
時計は16時35分と示されている。
3時間半も寝ちゃってたんだ…。
「雫おはよう。」
「どう?具合は。」
そう言って俺は雫の長い髪を指に絡ませていた。
「颯太君!?」
「もしかしてずっとここに?」
「あっ…髪…///離して。」
「具合はもう全然大丈夫良くなったよ!」
「うん、ずっとここにいたよ。」
「起きるまでずっと雫の寝顔見てた。」
「髪?最初の頃思い出すね(笑)」
「あの頃もこうして雫の髪を指に」
「絡ませてた。」
「雫の髪ってすごく触れたくなるんだよ」
「サラサラで良い香りがする。」
俺は自然に雫の髪を絡ませたまま鼻に当てた。
するとやはり雫の綺麗な髪からフローラル系の香りがいてきた。
俺は満足し、雫の髪をそっと手から離して
立ち上がる。
「////なんでこう簡単に触れたりするの。」
「私、慣れてないんだよ…?」
「雫だから触れたくなるんだよ。」
「それに慣れてないからこそしたく」
「なるんだよ。」
「颯太君のいじわる/////」
「意地悪で良いよ(笑)」
「あっ、雫ちょっと一旦熱」
「測った方がいいんじゃない?」
「確かに。」
「朝測って以来測ってなかった。」
「測ってみるね。」
私は枕元に置いていた体温計を取り、
熱を測った。
「36℃」
「颯太君熱下がった!」
熱は下がったのだけれどまだ少し
身体に火照りが残っていた。
きっと颯太君が今日大胆な事ばかりしてたのが理由だと確実に答えは出ていた。
あんな少女漫画のようなキュンな事されたら誰もが火照ってちゃうに決まってる。
なんだか嬉しいけれど少し疲れちゃった。
途中、熱なのか火照りなのか区別がつかないほどになっていた。
「良かった!」
「これで俺、安心して帰れるな。」
「颯太君お見舞い本当ありがとう。」
「颯太君のおかげだよ。」
「俺はただ傍にいただけだから」
「あまり役に立ててなかったから」
「逆にごめんよ。」
「ううん。」