初恋物語~大切な君へ


「可愛いなぁお前。」



「またそうやってからかう!」


そう言って私はまた兄ちゃんの胸を左右の
拳で叩いた。
なんでこう、兄ちゃんは私をからかうのだろう。
今度絶対兄ちゃんをからかってやるんだから。


「暴力反対(笑)」
「あっ、雫ご飯何食べたい?」
「本当にもう平気なのか?」





「もう大丈夫だよ!」
「あっ、兄ちゃんアイスとゼリー」
「あるから食後に食べよ?」




「雫、今日外に出たのか?」

俺は雫のベッドから降りて立ち上がると
ふと出窓に目がいった。
そうするとそこにはテディベアと花が飾られてあった。
今朝こんなのなかった…。
誰か来たのか?



「それとも、誰か来たのか?」
「雫の部屋にこの花今朝までなかった」
「はずだが…。」



兄ちゃんの観察力には驚かされる。
私の部屋にどこに何が置いてあって何が無くなったとか増えてるとか全部知っている。
小学生の時からそうだったけれど、
どんどん年を越す事に観察力が極だっていた。
私なんて兄ちゃんの部屋に何があって
何がないとか覚えてないもん。
それに鋭い。
兄ちゃんには嘘つけないや。



「颯太君がお見舞いに来てくれたの。」




「は?」

なんだよそれ…。
雫と2人きりだったって事?
意味わかんねぇよ。
ジリジリと嫉妬心が強くなる。


「雫…1人でいる時に男を」
「家に入れたのか?」
「お前どこまで無防備なんだよ。」



「無防備じゃないもん!」
「それにせっかくお見舞いに」
「来てくれたんだよ?」
「追い返すなんてできないよ!」



「そもそもインターフォン鳴っても」
「居留守使えよ。」
「なんでよりによって吉川颯太が」
「わざわざ来るんだよ!」



「それは兄ちゃんが電話で」
「私の事体調悪いって言ってたじゃん。」
「心配して来てくれたんだよ。」
「そんな怒ること?」



「別に怒ってない…。」


雫が言ってる事が正しい…ちゃんとそれは
分かってる。
だけど…すごくイライラする。
ヤキモチだ。
雫と家で楽しい話をしてたりしてたと
思うだけですごくジリジリと心臓が締めつけられる。
何回こんな思いしないといけないのだ。



「でっ?この花は吉川からの贈り物」
「なのか?」




なんで兄ちゃん急に機嫌悪くなるの?
私が悪いの?
私兄ちゃんに何か気に触る事でもした?
全然思い当たらないよ…。



「そだよ。」
「あとゼリーとアイス家族で食べてって」
「買ってきてくれたんだよ?」
「ねぇ、兄ちゃんがさなんでそこまで」
「颯太君を目の敵にするのか私には」
「わかんないけど…颯太君思ってるほど」
「悪い人じゃないよ!」
「この花だってちゃんと花言葉があって」
「ピッタリの言葉だったらしく」
「この花選んでくれたんだって。」
「花言葉の意味はまだ調べないでって」
「言われちゃった。」
「今度ちゃんと言うからそれまで待って」
「って。」


雫が話しながら段々と頬が赤く染まるのが
わかる。
きっと嬉しかったんだろう。
吉川に花もらえてお見舞い来てもらえて

花言葉?
一体この花はなんて言うんだ。
後で意味、調べてみるか。
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