初恋物語~大切な君へ
「兄ちゃん、私お腹空いたから」
「夕ご飯食べたいんだけど。」
「あぁ。」
「それじゃ冷蔵庫に食材何があるか」
「見て作ってやる。」
私と兄ちゃんはリビングに向かい
私は兄ちゃんの言葉に甘える事にした。
兄ちゃんが作る料理はお母さんの料理と同じくらい美味しい。
久しぶりに作ってくれる兄ちゃんの手料理にさっきの兄ちゃんに対するイライラ感は
溶けていった。
自分でも思うけど、私…単純?
「ねぇ兄ちゃん、どう?」
「冷蔵庫に何が残ってる?」
「玉ねぎ、豚肉、人参、キャベツ」
「が残ってるから焼きそばにする」
「けど良い?」
「ヤッターー!」
「焼きそば食べたい!」
「ありがとう兄ちゃん!」
雫は満面な笑顔を俺に向けてきた。
はぁ…本当、俺の気持ち全然知らないクセに…
こんな可愛い笑顔を見せられるとまた
雫に触れたくなるだろ!
無自覚さんには困らせられてばかりだ。
俺も俺だよ…雫の喜んでくれる顔見てしまうと調子に乗ってしまう。
完全に惚れたら終わりってこの事なんだな。
そんな思いを感じながら俺は焼きそば作りに手を進めていた。
「雫、出来たぞ!」
雫を呼んでも反応がない。
食卓のテーブルに向くと雫はスマホをイジっていた。
俺は急いで食卓のテーブルに焼きそば2人分持って歩いた。
「雫!」
「兄ちゃん!」
「わあーー!美味しそう!」
「今ね、美桜からLINEきて返事返して」
「たところだったの。」
「美桜、来週水曜日委員会の集まりで」
「一緒に帰れないって。」
「さっき、同じ委員会の友達から連絡」
「来たみたい。」
「そっか。」
ホッ…と俺は安心した。
LINEの相手、吉川颯太ではなかった。
俺、結構余裕ないんだな。
まださ…吉川颯太が雫の事本気で好きか
わかんねぇじゃん?
それに雫も…。
俺以外の男と友達になったの小学生まででそれまで雫は男の友達は作って来なかった。
だけど吉川颯太に友達になろうと言われた時、この人ならきっと良いお友達になってくれると思って友達になった。
っと雫から聞かされた。
そりゃ友達を作る事は良い事だし、
雫が少しずつ元の学校生活が楽しんで行ってるみたいで吉川颯太の周りの友達も良い奴って事も雫が楽しそうに話しててわかるし、
美桜も良い人達と言っていたから嘘ではない事は承知している。
だけど…吉川颯太はきっと雫に気があるのは確かで本気ではない可能性だってあるし、本気の可能性だってある。
雫が幸せなら良い…と思う反面雫の全てを
俺がもらいたいと気持ちが日に日に強くなるこの独占欲が俺の身体を蝕んでしまう。
「兄ちゃんはその日一緒に帰れるの?」
「俺、その日バイト。」
「そっか。」
「じゃこの日はちょっと図書館でも」
「行って帰ろうかな。」
「読みたい本あるし。」
「吉川颯太達と帰らないのか?」
「うん。」
「その日増田君は彼女さんとデート」
「颯太君はお父さんの会社の手伝いが」
「あるみたい。」
「近藤君はちょっとわかんないけど」
「きっと1人で帰ると思うよ。」
「近藤君、颯太君や増田君がいない時は」
「1人で行動多いみたいだから。」
最近の私の帰るルーティンは兄ちゃんが
バイトじゃない日は美桜、兄ちゃん、私で
帰って兄ちゃんがバイトの時は颯太君達メンバーと帰ってる。
最初は慣れなくて、周囲にも見物のように
見られていて抵抗あったけれど今は誰も
見てこなくなったのと自分もそれに
慣れてきて今は楽しく帰れている。
「ふーん。」
「まぁ、たまには1人で帰るのも」
「落ち着くかと思うけど」
「ちゃんと暗くなる前には帰れよ。」
「ほら、焼きそば早く食おうぜ。」
「いただきます!」
「どう?」
「んんんんん♪」
「美味しい!」
「兄ちゃん焼きそば屋さん開いたら?」
「ぶっ///」
「ははははは!」
「腹痛てぇー(笑)」
「ちょっと!」
「そこ笑うとこ!?」
「だって、焼きそば屋開いたら?」
「って本当、雫面白すぎ。」
「焼きそば美味しいからって焼きそば」
「限定で店開いたらって言うの初めて」
「言われたわ(笑)」
「そんなに可笑しいかなぁ?」
「それだけ美味しいって思った」
「んだから。」
「まぁ、嬉しいよ!」
「雫にそこまで褒めてもらえて。」
雫はあっという間に焼きそばを食べてくれた。
こんなに美味しそうに食べてくれると
作った甲斐があった。
「ふぅーお腹いっぱーい!」
「ごちそうさまでした。」
「兄ちゃん私、シャワー浴びたら」
「洗い物するから置いといてね。」
「了解」
「それだったら今入っとけば?」