初恋物語~大切な君へ
「兄ちゃん、先シャワー浴びてくるね。」
「あっ、雫…」
「ん?」
「吉川颯太に貰った花の名前なんて」
「言う花?」
「ピンク胡蝶蘭だよ。」
「なんで?」
「あっうん…綺麗な花だなって思って」
「知りたかっただけ。」
綺麗だと思うがそれが花の名前を知りたい理由ではない。
花言葉…そう、花言葉がどう言う意味なのか知りたい。
だから検索したい為に口実を作った。
「綺麗でしょ?」
「お気に入りのお花になっちゃった!」
「それじゃ入ってくるね。」
「はーい。」
俺は雫がお風呂場に行った事を確認し、
スマホでGoogleの検索を開いた。
そして、ピンク胡蝶蘭 花言葉と入力し
検索してみる。
「あっ、これだ…。」
俺は花言葉の意味を読み絶句した。
胡蝶蘭の花言葉は…
「あなたを愛してます。」
俺は意味を示してる通りに呟いた。
そして、確信した…吉川颯太は本気で雫の
事を好きなんだと。
またズキズキと胸が痛む…。
頼む…俺の雫を取らないでくれ。
検索して調べるんじゃなかったと後悔した。
そこからは時間だけがカチカチと時計が
音を立てながら過ぎてゆく。
「兄ちゃん、お先。」
「………。」
「おーい兄ちゃん!」
「もしもーし。」
「あっ、雫上がってきたのか。」
雫が濡れ髪のまま俺の間近まできて
右手をブンブンと顔周りで振っていて
我に返る。
俺はしばらく放心状態だったのか。
「兄ちゃん大丈夫?」
「今日疲れてるのに晩御飯作らせて」
「しまったから更に疲れたのかな?」
「兄ちゃんが呼びかけても反応」
「ないなんて珍しくて心配だよ。」
「あぁ…ごめん今日疲れてるかも。」
「ごめん兄ちゃん…ご飯作らせて」
「しまって。」
「もっと早く察してれば良かった。」
「大丈夫だ。」
「雫のせいではないから。」
「ちょっと色んな事考えてたから疲れた」
「んだと思う。」
「俺も今からシャワー浴びて」
「今日は早めに寝るよ。」
「なんか悩みあるなら聞くから言って。」
「1人で抱え込むのはしんどいの私」
「わかるから。」
「あぁ。」
「その時は頼む。」
「じゃ、おやすみ。」
私は洗い物をし始める。
そして、さっきの兄ちゃんの事を思い返した。
兄ちゃん…余程疲れちゃったのだろう。
元気なかった。
でも…私がシャワー浴びる前は普通に
元気だった気がするのだけれど。
ご飯食べ終わったらドッと疲れが出てきたのかな?
そんな事を思いながら洗い物をすること
15分…兄ちゃんはお風呂場から出てきて、
そのまま髪を乾かしていた。
その後、こっちのリビングに戻ってくると
思っていたが兄ちゃんは姿を見せず
自分の部屋へと行ってしまった。
そして私も洗い物が終わり
リビングの部屋を消し、戸締りのチェックをする。
そして私も早めに自分の部屋に戻り
早い土曜日の1日が幕を閉じた。
第4章 end