初恋物語~大切な君へ
「みんなおはよう。」
「なんの騒ぎ?」
そう言って俺は自分の席近くにきていた。
そして、その人集りの真ん中には雫が
いた。
しかし、いつもの三つ編み眼鏡スタイルではなくプライベートの本当の雫の姿だった。
えっ!ええええ!雫?一体どうした?
おれはそれを見て人集りの理由がわかった。
「おっ!颯太!」
「すげえぞ!木梨さんめちゃくちゃ」
「可愛いすぎなんだけど!」
「今日木梨さんめちゃイメチェン」
「してるんだぜ!」
あぁ…やっぱりな。
雫が原因だったんだな。
雫が可愛いすぎる事くらい知ってる。
俺が最初に雫の良さを見つけたんだ。
「ほらほらみんなあまり俺の大事な」
「友達の雫を困らせないでね。」
「さぁ、解散!解散!」
颯太君が助けてくれた。
本当…優しい。
正直あんなにたくさん人が集まって来たのは初めてでどう反応したら良いのか困っていた。
颯太君の掛け声でみんな散らばった。
颯太君の人をまとめる力とか影響力って
すごいなぁとつくづく思う。
「颯太君ありがとう。」
「いいよ困ってたら助けるのが」
「普通だろ?」
「それに俺が独り占めしたいからさ。」
「学校で素の雫を見れるの初めてだから」
「さ。」
ガラガラっと担任の先生が扉を開けて
教室に入ってきた。
そして今日も1日が始まる。
私達は1限目2限目3限目となんのトラブルもなく授業は進み、いつの間にか昼休みの
時間になっていた。
「雫、おいで。」
「体育館裏で集まるぞ。」
「あっ、うん。」
「美桜!颯太君が体育館裏行こうって。」
「あっ、わかった!」
美桜と私はお弁当の入ったカバンを手に持ち颯太君と教室を出ようとすると呼び止められてしまった。
「木梨さん!」
「待って!」
私は後ろを振り返ると1人のクラスメイトの男子生徒が立っていた。
「俺、前から木梨さんが気になって。」
クラスの男子生徒がそう言った直後
颯太君はその男子生徒の所まで歩寄った。
そして男子生徒の耳元でなにかコソコソ話をしているけれど私と美桜には全然何を
話しているかわからなかった。
男子生徒が雫を呼び止める。
さっそくかぁっと俺は勘づいていた。
きっとこれからは雫は色んな男に声をかけられるだろうと。
そりゃこんな美少女だぞ?
しかも地味子の本当の姿は美少女なんて
少女漫画かよってツッコミたくなるほど
に考えられない事が現実で起きているのだ。
そんな雫がモテないはずがない。
だからきっと告る奴は増えると思っていた。
だから別に驚きもしない。
ただ、悪い虫がつかないように阻止するだけ。
俺は男子生徒の目の前に立ち耳元で
告げた。
「林、雫はダメ…将来俺の彼女」
「になるか。」
「それとこのこと噂で広めたりしても」
「ダメ。もし広まったら…。」
「知らないよ?」
俺は笑顔で忠告をした。
そうすると林は必死で頷く。
それをみて俺は林は言いふらしたりはしないと確信した。
「それじゃ、ごめんね。」
っと言い残し雫のいる傍に向かった。
「雫、美桜ちゃん行こっ。」
「あっ、うん。」
私と美桜は颯太君に言われるがまま
教室を出る。
出る前にクラスメイトの呼び止められた男子生徒にお辞儀をし教室の扉を開け
体育館裏に3人で向かった。