初恋物語~大切な君へ

ガラガラっと私は職員室の扉を開ける。
そして担任の先生のデスクに向かって歩くと、職員室にいる先生達は何故か私の
方に視線をおとす。
なんか緊張する…色んな意味で。


「先生!」


「木梨か!お前どしたんだ!?」



「あっ、驚かせてしまってすみません。」
「先生ノート教室に忘れてたので」
「渡しにきました。」




「あっ、あぁ。」
「木梨、なんか家庭や友達関係で」
「なにかあったのか?」



「えっ?」
「何もないですよ。」



「それなら良いが…あまりにも」
「木梨が変わりすぎたからちょっと」
「心配でな。」


「私、今すごく楽しくて!」
「これが本来の私なので学校でも」
「素の私で送りたくなったので」
「今日からこうして学校に来たんです。」


「そっか、それなら安心だ。」
「先生ホッとしたよ。」
「ノート届けてくれてありがとうな。」


「はい!失礼しまいました。」


私は無事、先生にノートを届けて今から学校を出る為学校の下駄箱へと足を進ませた。
廊下を歩きながら今日の出来事を振り返っていた。
颯太君のさり気なくするドキドキの行動は
今思い出すだけですぐにまた私の心をドキドキにさせている。
今まで関わってきた女性にもあんな事していたのかな…?
そんな風に思ってしまうと今度は心臓が
突っつかれる感じの傷みが私の身体中を支配していた。
こんな自分見た事ないし、経験した事もない。
恋とはこーゆものなのだろうか。
全てが私の初めて…。
初恋ってこんなにキュンキュンしたり
チクチクしたり胸が高鳴ったり、
可愛いくなりたいって気持ちになったり
するんだね。
颯太君は私の事好きって言ってくれている。
でも彼と私の住む環境が違いすぎて
そこから先は踏み込めない。
恋愛だけで突っ走ることはできないよ。
私も颯太君が好きだけど…
私はあなたの将来の邪魔をしたくない。
きっと御曹司は決められた許嫁がいるはず。
だって、少女漫画でもそのシチュエーションが多い。
もし、私と付き合ったとしても将来その女性が現れたら私はすんなり受け入れられる?
そんなの無理だよ…。
だったら私は最初から求めてはいけない。




「はぁ…どーしたら良いのだろ。」



そう私は無意識にボソッと口にしていた。
そして、私は1階の下駄箱に下る為階段を
降りようとした瞬間、私は階段に蹴つまづいた。
やっ!落ちる。
私は思いっきり目を閉じた。
もうダメだ…私ここで人生終わってしまうと思った。
だけどいつになっても落ちた衝撃はなく、
私…もしかして即死?
そんな即死するくらい高い階段から落ちたの?っとまで思った。
だけど、生きている。
何がどうなっているのかわからない。
ただ、私の背中から暖かい体温とドクドクと早く刻まれる心臓の音が伝わる。


「木梨!」









※圭介編※


昼休みが終わり、俺と慎吾はクラスに
戻って5限目の授業が終わった。
そして今15分休憩の時間に慎吾と廊下で
話している。
早くも廊下や教室からは木梨の話がやたらと色んな生徒から出てくる。
それもそうだ…突然別人みたいに学校に登校してくるのだから。
正直俺も昼休みは驚いた。
中学の木梨がそのまま少し大人になって
現れた感じだった。
相変わらず可愛くて…高校生になった木梨は可愛さの中に綺麗さもプラスされていた。
木梨が変われた1番の理由は颯が影響している事はわかる。
きっと2人は好き同士って事も。



「おーい、圭介俺の話聞いてる?」



「あっ、ごめん考えて事してた。」



「今日俺、彼女とデートだし颯太も」
「会社の手伝い、長谷川さんも委員会」
「で今日帰りみんなバラバラだけど」
「お前どーすんの?」
「木ナッシーと帰るのか?」


「へっ!?」
「なんでそーなる!」
「帰んねぇーよ。」
「1人で帰る。」



「あのさ、俺の勘違いだったら」
「ごめんなんだけど…」


「なに?」


「圭介ってちゃんと木ナッシーの事」
「忘れたの?好きの気持ち。」
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