初恋物語~大切な君へ
「もう、ちゃんと諦めたから好きは」
「ないよ。」
そんな言葉を口にしているとすごく胸が刺さるくらい痛い。
なんだよこれ…。
ちゃんと俺は颯の事応援しないといけない。
だけど張り裂けそうにもなる。
俺は木梨がまだ好きなのかもしれない。
だけど好きじゃないと自分に言い聞かせないといけない。
「じゃ、颯太と木ナッシーが」
「付き合ってさ、目の前で」
「手とか握ってたりしても平気?」
慎吾に言われて、想像してみる。
颯と木梨が手を繋いで俺の目の前に
いる姿…。
そんなの苦しい…。
だけど仕方ないんだよ。
颯と木梨は両思いなんだし、
俺、応援するってあの時約束したじゃないか。
だけど…木梨とまた仲良くなってここ1ヶ月くらい経って俺は思った。
木梨が近くにいる度に目が離せなくなる。
だけど認めたらダメなんだよ。
俺は中学の時でこの恋は終わってて
今はちゃんと大事な友達の颯の応援を
しないといけないのだ。
「へ…平気だけど。」
「慎吾なんだよ!なんで唐突にそんな」
「事言うんだよ。」
「だって、お前あまり顔に出さないのに」
「今日の弁当の時、颯太が木ナッシーの」
「卵焼き口に咥えてるあの至近距離をさ」
「すげぇ辛そうな顔で見てたじゃん。」
「……慎吾…俺、頭では」
「わかってるんだ。」
「颯の事ちゃんと応援して」
「やりたいし、颯には幸せになって」
「もらいたい。」
「だけど…いつの間にか木梨を目で」
「追ってる…目が離せなくなってる…。」
「なぁ、もう目が離せなくなるって」
「事は木ナッシーの事好きなんだよ」
「圭介…。もうそれは恋なんだよ。」
そうだ…そうなんだ。
慎吾の言う通りだよ。
俺は中学で木梨への気持ち、諦めて忘れて吹っ切れていたと自分で思ってた。
だけど違ったんだ…。
全然吹っ切れていなかった。
木梨の事好きかも…じゃなく、好きなんだ。
だけどどーしたいとかはない。
できないんだ…。
大切な友達の好きな子なんだ。
あの時俺が諦めたから仕方ないのだ。
密かに秘めとく事しかできない。
「そうだ…そうなんだ。」
「慎吾の言う通りだよ。」
「俺、木梨の事まだ好きだわ。」
「ようやく素直になったな。」
「俺はさ、颯太側につくとか、圭介側に」
「つくとかしない。」
「2人とも同じくらい大切なツレだから」
「だけど、2人ともの応援はする。」
「後は2人がどこまで頑張れるかだよ。」
「ありがとう慎吾。」
「後さ……その。」
「ん?もしかして俺が颯太に」
「圭介も木ナッシーの事好きなんだぜ」
「って言うのかって心配してる?」
「!なぜわかる!?」
「あはは、本当圭介は恋すると表情」
「わかりやすいな!」
「言わないよ…。」
「それは俺が言うべき問題じゃないし、」
「さっきも言ったようにどっちの味方も」
「しないから。」
「颯太に言うか言わないのか決めるのは」
「圭介の気持ち次第だしな。」
「もし、言うってなった時も自分で」
「決めるしかない。」