初恋物語~大切な君へ
少し捜すと木梨は見つかった。
「木梨。」
そう呼ぶと木梨は後ろを振り向く。
この振り向く流し目がとても美しくて
見惚れてしまう。
いつもこうやって俺に振り向いて欲しいと
欲張りな気持ちにさせてしまう。
俺、こんな気持ちになるんだ。
君に触れたくなる…。
「近藤君!」
「見つかったよほら。」
「ありがとう!」
「もう他の人に借りられてるかと」
「思って諦めかけてたの。」
「見つかって良かったな。」
「うん!」
「今日、何からなにまで近藤君に」
「助けてもらってばっかりだ私(笑)」
「いつでも助けるよ。」
「私も、近藤君が困った時助けるから」
「言ってね!」
「ありがとう。」
「あっ、近藤君その小説…」
「あー。」
「この小説に惹かれたから」
「読もうかと。」
「それ、良いよ!」
「私も実は半年前に借りて読んだの。」
「そうなのか!?」
「じゃ、木梨が好きな小説なら」
「絶対最後まで読む!」
「あ…。」
俺は勢いよくそう答えていた。
こんなのまるで木梨が読んでいるなら
俺も読んで共有したいと言っているように
聞こえてしまう。
案の定木梨は目をまんまるさせながら
俺を見ている。
これ、気付かれたか?
俺の気持ち…。
なんか言い訳を考えなきゃだな。
「きっ木梨が良い作品って言うなら」
「絶対面白いはずだから最後まで読む」
「って事だからな。」
ヤバっめちゃくちゃ今俺恥ずかしい…。
顔に出てなきゃ良いけど…。
「そーゆー事か!」
「うん!読んでみて!」
「どんどん面白くなってどんどん」
「ページが進んで行くよ。」
「わかったわかった!」
「あはは!」
「近藤君…?」
「私何かおかしな事言った?」
「ううん言ってない。」
「本当に本が好きなんだなぁって」
「思ってね。」
「木梨、気付いてないだろうけど」
「本の話ししてる時顔に勢いつけて」
「熱心に話してるから面白くて。」
「ぇぇぇぇ!」
「何それ!もっと早く言ってよ!」
「恥ずかしいじゃん(笑)」
「1人で熱く語って(笑)」
「可愛いから良いじゃない?」
俺は自然とそんな言葉が出てきてしまった。
でも本当に可愛いくて仕方がない。
だからはぐらかす気になんてない。
そのまま可愛いと思う気持ちは伝えたい
と思った。
「可愛いくなんてないよ…。」
「可愛いよ木梨は。」
「素直でさ、実はすごく明るくてだけど」
「ちょっと抜けてるとこもあって(笑)」
「////近藤君…嬉しいけどあまり」
「褒め慣れてないから恥ずかしい。」
「まぁ素直に受け取っときなって(笑)」
「わかった///」
なんだか近藤君と今日こうして
たくさんお話をしてわかった事がある。
近藤君って意外と話し好きなのかも。
いつもクールなのになんだかちょっと
今日、お茶目な所見れて楽しい。
私と近藤君は本を借りてそのまま図書館を
出た。
そして自分達がいつも学校の帰りに利用している駅まで向かった。
「やっと駅に着いたね!」
「近藤君、確か私の隣町だから1個手前」
「の赤松駅だよね?」