初恋物語~大切な君へ
雫が慌てて俺の腕を両手で掴んで来ていた。
その行動に思わずドキッと心臓が跳ね上がるのがわかった。
だけど、この慌てようは一体どうしたのか
…。
それにしても一向に心拍数が治まらない。
今日バイト頑張って良かった…。
こんなご褒美があるのなら毎日頑張れる
とか思えるくらい雫に腕を掴まれた事に
対して舞い上がっている。
「ちょっと来て!」
私は強めに兄ちゃんの右腕を両手で掴んで
、私の部屋に誘導していた。
兄ちゃん相当驚いているみたいで目が大きく見開いている。
そりゃ突然腕掴まれて私の部屋に来いって
言われているのだから当たり前だよね。
立場が逆なら私も驚くだろう。
だけど美桜が誘えるチャンスを早く作りたくて仕方がなかったのだから許してね、
兄ちゃんっと心で謝った。
「美桜!」
「兄ちゃん帰ってきた。」
「おい雫!そんなに引っ張るな!」
「あれ?美桜居たのか?」
「今日は途中で帰ってごめんな。」
「優君おかえりなさい♪」
「いやいや今日は誕生日会ありがとう!」
「楽しかったよ♪」
「雫と女子トークしたくて泊まりに」
「来ちゃったの。」
「そうか、久しぶりに泊まりに来るな。」
「まぁ、ゆっくりしてって。」
「言われなくてもそうするよ♪」
「おい雫!」
「なっ!なに!?」
「用事あるから俺を部屋に」
「入れたんだろ?」
「そうなの!」
「私と言うより美桜からね♪」
「美桜どうした?」
「優君、今月クリスマスでしょ?」
「その日バイトある?」
「バイトは今のところないけど。」
「クリスマス一緒に過ごしたいなぁ」
「って思って誘ってみたの。」
「そんなの毎年俺ら3人で過ごしてる」
「だろ?」
兄ちゃんのアホー!
そうじゃないの!美桜がこんなに顔真っ赤にして誘ってるんだから気付いてよ!
これは私がフォローしなきゃだよね?
「兄ちゃん!今回のクリスマスは」
「私は一緒に過ごせないよ。」
「は?なんで?」
「私、24日は近藤君と25日は颯太君に」
「誘われてるからね!」
俺は雫の言っている事がしばらく理解できなかった。
俺は完全に今年も3人で過ごすと思っていたからだ。
なんだよそれ…聞いていない。
いつ誘われた?
吉川颯太は薄々は予想はしていたが…
近藤って雫と中学同じで委員も同じだった
…それに今日だって近藤が雫を誘うような
気持ちの素振りなかったぞ。
もういい。
勝手にしろ…。
「美桜、俺らもどっかその日出かけるか」
「まだ何もプラン考えてないけど。」
「優君嬉しい!ありがとう!」
「雫、ありがとうね///」
美桜は私にこそっそり感謝の言葉をくれた。
ふぅー良かったね美桜♪
沢山オシャレしてクリスマスは兄ちゃんと
過ごしてね。
「っで、なんで誘われてんだよ。」
「えっ?」
「近藤と吉川に。」
「兄ちゃん、私颯太君が好き。」
「私の初めての恋なの。」
「そんな好きな人と一緒にクリスマス」
「過ごしたいって思ってたらね颯太君」
「から電話がきて、一緒に過ごしたい」
「って言ってくれて…。」
「じゃ、近藤はどーなの?」
「なんで近藤にも誘われてんだよ。」