初恋物語~大切な君へ
私は扉の近くに誘導してもらい、
近藤君は私の前に立っていた。
きっと人にぶつからないようにしてくれたのだと思った。
だけど…ものすごく近いよ…。
こんな近くに近藤君を見た事がないから
どこに目線をおとしたら良いのかわからなかった。
だから私はひたすら俯いて下を見ていた。
「木梨…今日の服似合ってる。」
「えっ!////」
えっ!なに!?突然褒められちゃった。
近藤君ってこんなストレートに言う人だったけ?
と言うか普通に近藤君キャラ変わってない!?
私どう応えれば良いのだろ…。
普通にありがとうっていえば良いよね?
褒められて嬉しい事だし。
だけど、こんな近い距離で言われたら
誰だって照れるし顔赤くなっちゃうよね!
「あっ…ありがとう///」
「その服もbearWorldの?」
「そうだよ。」
「近藤君のそのボトムスとバッグも?」
「うん。」
「去年の冬に買った物だけど気に入って」
「てさ。」
「後、今日も木梨はbearWorld着てくる」
「かなと思って合わせてみた。」
「それじゃ今日はお揃いみたいな感じ」
「だね!」
そう言って私は近藤君の顔を見た。
だけどそれと同時に電車が突然大きく揺れた瞬間近藤君はバランスを崩し私に寄り掛かる状態になり一気に私と近藤君は急接近する姿勢になっていた。
私の顔と近藤君の顔が近い…。
お互いの吐息がわかるくらいだ。
近藤君の頬はどことなく赤く染まっている
ようにも見えた。
そして、私達の近くにいた同じ歳くらいの
女の子達はこっちを見て言ってるのが聞こえる。
「ねぇ、やっぱ彼女じゃない?」
「え~ショック…声かけようとしたのに」
「別に、相手普通じゃない?」
「私の方がまだ可愛いと思うんだけど。」
あのぉー聞こえてますよ…。
しかも彼女じゃないんだけどなぁ。
「木梨?」
「かっ彼女じゃないのにね。」
「勘違いされちゃったね。」
「別に言わしとけばいいよ。」
「それより木梨次また揺れるかもだから」
「手…繋いどこ。」
「手!?」
「だっ!大丈夫だよ!意外と私」
「足の力強いから踏ん張れるしほら、」
「横に手すりもある…っ!」
最後まで言いかけた瞬間、近藤君の言う通りまた電車の大きな揺れたが襲ってきたが
近藤君が既に手を握って私はそのまま引き寄せられすっぽり近藤君の胸に収まった状態になっていた。
「ほら、言ったろ?」
「あっ…うん…なんかごめん。」
「大丈夫。」
「怪我ない?」
「怪我はしてないよありがとう。」
わぁービックリしたぁ。
本当に結構揺れるなんてら知らなかった…。
と言うか私、近藤君に抱き寄せられてる!?
しかも手まで繋がれたままだ。
なんだか視線が痛い…。
「近藤君、もう大丈夫だから離して」
「いいよ。」
「周りも見てるし…ね?」
揺れは収まって電車はいつものスピードで
走っている。
だけど俺は木梨の手を離すこともなく右手で木梨の手を繋ぎ腕で木梨の背中を囲う形で俺の胸に引き寄せているままにしている。
木梨は離して欲しそうだ。
と言うか離していいよって言っている。
周りからこ目線も気になっているからだろう。
だけど…俺はもっとこうしていたいと欲深くなる。
「後1駅で降りるからこのままで。」
「でっでも…。」
「近藤君が誤解されるよ?」
「彼氏じゃないのに。」
「別に俺は誤解されてても良いよ。」
「知らない人達だからそこまで」
「本当の事言う事もないし。」
「そ…そうだけど…。」
それ以上私は何も言えなくなってそのまま
流されてしまった。
「木梨降りるよ。」
「あっ、うん。」
降りた駅は篠宮駅でここは松原と同じくらい街が栄えている。
きっと学校の生徒達も少なからずいるはずだ。
特に今日はクリスマスイヴ…
未だに手は繋いだままでこの状況で同じ
学校の生徒に見られてしまったら…。
きっと誤解されちゃうし、颯太君の耳にも入ってしまうだろう。
それにまず第一に恥ずかしすぎるよこの
状況。
とにかく何とかしないと…
私は精一杯考える。
そして考えていたら篠宮駅の中央改札口を
出ていた。
ふと真正面を見るとそこはトイレが設置されていた。
あっ、トイレに行けば良いのかと思い
私は早速近藤君に伝える。
「近藤君!」
「ん?」
「私、ちょっとお手洗い行ってくるね!」
「あっ、わかった。」
「待ってるから行っておいで。」
「ごめんね!」
そう私は謝ると同時に近藤君の手を離した。
良かった…これで大丈夫。
誰に見られても誤解されない。
私は小走りでトイレに駆け込み一息をついた。
「ふぅー。」
なんだか今日は1日ハラハラドキドキしそうだなぁ。
近藤君どうしたのだろう…。
いつもとなんか違う感じに見えるのは
私だけなのだろうか。
すごく積極的な感じがする。
これが本当の近藤君なのか?
それとも普段の感じが近藤君なのかわからなくなってしまう。