ビニール傘を差し出したら、結婚を申し込まれました。
Chapter5☂︎*̣̩・゚。・゚
◇◆◇
「変じゃないですかね。この服」
初めて着るタイプ雰囲気の、きちんとしたブラウスにスカート。いつもラフな服を着ることが多いので落ち着かない。
「よく似合ってると思うよ」
「というかこんな店、私だけ場違いな気がしてくるんですけど」
「気のせいだよ。今の夏怜ちゃんは誰がどう見ても僕の婚約者だ」
「いや見ただけで婚約者だとはわからないでしょ」
無事にハルさんと仲直りしてからおよそ二週間。
私たちは、見るからに高級なホテルにある、見るからに高級なレストランで、橋岡さんと待ち合わせをしていた。
ハルさんは橋岡が来るまでに先に何か注文しておこうかと言ってくれたが、胃が縮こまって食欲がないので断った。良いものが食べられるからと昼ごはんを小さなパン一つにしたのに情けない。
ただの水ですらなんか高級な味がする気がする。
ハルさんは私がすっかり萎縮してしまっているのに気づいて色々と話しかけてくれている。そうしているうちにようやく待ち合わせ相手が姿を現した。
「お久しぶりでございます。晴仁様」
いつか私の元を訪ねてきたときと同様に無表情ではあるが、声からは極度の緊張が伝わってくる。
ハルさんはそんな橋岡と対照的に、落ち着き払った柔和な笑みを浮かべる。
「久しぶりだね橋岡。僕の目の前から颯爽と澪を奪い去っていったあのとき以来だね」
「その節は本当に……」
「はは、意地の悪い言い方したね。まあまあ、とりあえず座りなよ。このレストランは来たことある?好みがわからないからシェフのオススメを予約しておいたけど、この店何を食べても美味しいから大丈夫だと思う」
シェフのオススメ……いったい何が出てくるんだろう。
「変じゃないですかね。この服」
初めて着るタイプ雰囲気の、きちんとしたブラウスにスカート。いつもラフな服を着ることが多いので落ち着かない。
「よく似合ってると思うよ」
「というかこんな店、私だけ場違いな気がしてくるんですけど」
「気のせいだよ。今の夏怜ちゃんは誰がどう見ても僕の婚約者だ」
「いや見ただけで婚約者だとはわからないでしょ」
無事にハルさんと仲直りしてからおよそ二週間。
私たちは、見るからに高級なホテルにある、見るからに高級なレストランで、橋岡さんと待ち合わせをしていた。
ハルさんは橋岡が来るまでに先に何か注文しておこうかと言ってくれたが、胃が縮こまって食欲がないので断った。良いものが食べられるからと昼ごはんを小さなパン一つにしたのに情けない。
ただの水ですらなんか高級な味がする気がする。
ハルさんは私がすっかり萎縮してしまっているのに気づいて色々と話しかけてくれている。そうしているうちにようやく待ち合わせ相手が姿を現した。
「お久しぶりでございます。晴仁様」
いつか私の元を訪ねてきたときと同様に無表情ではあるが、声からは極度の緊張が伝わってくる。
ハルさんはそんな橋岡と対照的に、落ち着き払った柔和な笑みを浮かべる。
「久しぶりだね橋岡。僕の目の前から颯爽と澪を奪い去っていったあのとき以来だね」
「その節は本当に……」
「はは、意地の悪い言い方したね。まあまあ、とりあえず座りなよ。このレストランは来たことある?好みがわからないからシェフのオススメを予約しておいたけど、この店何を食べても美味しいから大丈夫だと思う」
シェフのオススメ……いったい何が出てくるんだろう。