今、キミの鼓動をきく
(波瑠side)

振り返った彼は精霊のようだった。生きている感じがしない。穏やかに死を受け入れたような顔。綺麗な二重まぶたにのしかかるまつ毛から雨が滴り落ちている。まるで彼は透明だった。

死ぬ気だったのだろう。私は生きたくても生きられないのに。なんてもったいない。私は瞬時に手を取った。

波瑠「ねえ、死ぬんならさ、私にキミの2ヶ月ちょうだい」



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