今、キミの鼓動をきく
亮「......いいよ。」

青年はうつろな瞳でそういった。死ぬ気だったんだろう。なんて複雑な表情なのだろう。全ての悲しみを背負った顔。彼はなにを抱えてるのだろう。なのに、美しい。はかなくて美しい。

波瑠「決めた、キミと私の物語にする。最期の物語。」

亮「...最期?」

波瑠「2ヶ月後、私はここを去るからね」

亮「..........。」

波瑠「さぁ、風邪ひくから中入ろ!そこ、うちの泊まってる民宿だから!」

私は今にも消えそうな彼の手をとって走った。余命宣告されて冷えきった心が少し温かくなった気がした。
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