自動手記人形は私の隣に〜海を越えて「愛してる」を〜
すみれが振り向くと、ヴェリーナが困ったような顔をしていた。

「私をずっと避けて、どうしたの?私が何かしてしまったのならはっきり言って!」

ヴェリーナのその言葉にすみれは俯く。申し訳なくてたまらない。

「……あなたは何も悪くありません。悪いのは私です。ごめんなさい」

そう言い、すみれは廊下を走り出す。一刻も早くこの場所から逃げ出したい。またあの後悔を思い出してしまいそうで、泣きそうになる。

「待ちなさい、すみれ!!」

刹那、すみれはヴェリーナに腕を掴まれていた。ヴェリーナが走って追いかけてきたのだ。ぐちゃぐちゃの心では気付くことができなかった。

「フフッ、マラソンは得意なのよ。ヴァイオレットみたいに戦闘能力に長けているわけじゃないけどね」

ゼエハアと息を吐きながら、ヴェリーナはすみれに微笑む。そして、何があったのか話すまで帰さないと言わんばかりに掴む腕に力を込めた。

「ヴェリーナ……」
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