自動手記人形は私の隣に〜海を越えて「愛してる」を〜

「私は、アルビノで人とは少し違った見た目をしているでしょ？だから、ドイツでも日本でも、変な目で見られることが多くて辛かったの。そんな時に姉さんから「この作品、すごいのよ！」って勧められて、そこから好きになったわ」

「愛ってどういうものだろうってずっと考えていたけど、この作品を見てやっと答えを見つけた……」

ヴェリーナがそう言った刹那、すみれの息が一瞬止まった。愛、それはヴァイオレットが手紙を書くことで学んだこと。

『愛してる』

あの言葉がまた、蘇る。日本のように湿っていない風が吹く中、抱き締められて初めてすみれが言われた言葉ーーー。

「……ごめんなさい、先生に呼び出されていたのを忘れていました」

これ以上、ここにいるのが苦しい。すみれは立ち上がり、ヴェリーナに背を向けて走り出す。

ブローチのない胸元を強く掴んだ。



お昼休みが終わっても、すみれの心は騒ついて落ち着かなかった。そのため、すみれはヴェリーナを避けるようにして授業を受け、ホームルームが終わった後はかばんを手に急いで教室を出ようとする。

「すみれ！」