わたしたちの好きなひと
たぶん、つかず離れずで女子にまとわりつかれるのが鬱陶しかったんだろう。
どうせ美術館組と行く山田とは、10分もすれば別れると思っていただろうし。
朝から掛居の接待でご機嫌な岡本もにこやかだ。
「しかし、きみたちも宝塚歌劇団とは。お母様のおしこみですかな」
「そうですね。ぼくと稲垣さんは」にこやかに対応しているようで掛居の組んだ足はイライラと揺れている。
「サッカー部のふたりは、この旅行には参加しないはずだったので、巻きこまれたかんじですかね」
「なるほど。試合は残念でした」
「はぁ…」
まさに会話に巻きこまれた恭太が、ぼそっと返す返事。
岡本は恭太が移動すると同時に動いて、恭太の頭の上の吊革をつかんだし。
山田を無視しようとした女子たちも、会話があるとわかったら、即座に座った3人のまわりに陣取った。
「卓球部のみんなは参加できない日程ですけど。おれらサッカー部は半端な立ち位置だったので……。悔しいですけど、やるだけやらせてもらって。計画も立ててもらって……。ありがたいと思ってます。――な」
話を振られた岡本が、うんうんと首を振る。
どうせ美術館組と行く山田とは、10分もすれば別れると思っていただろうし。
朝から掛居の接待でご機嫌な岡本もにこやかだ。
「しかし、きみたちも宝塚歌劇団とは。お母様のおしこみですかな」
「そうですね。ぼくと稲垣さんは」にこやかに対応しているようで掛居の組んだ足はイライラと揺れている。
「サッカー部のふたりは、この旅行には参加しないはずだったので、巻きこまれたかんじですかね」
「なるほど。試合は残念でした」
「はぁ…」
まさに会話に巻きこまれた恭太が、ぼそっと返す返事。
岡本は恭太が移動すると同時に動いて、恭太の頭の上の吊革をつかんだし。
山田を無視しようとした女子たちも、会話があるとわかったら、即座に座った3人のまわりに陣取った。
「卓球部のみんなは参加できない日程ですけど。おれらサッカー部は半端な立ち位置だったので……。悔しいですけど、やるだけやらせてもらって。計画も立ててもらって……。ありがたいと思ってます。――な」
話を振られた岡本が、うんうんと首を振る。