わたしたちの好きなひと
「ごめん……」
「何度もあやまるな」
デ・ジャ・ブはふたりに。
「変わってねえな、まったく……」
恭太が言って、頭のうしろで腕を組む。
静かな時間が流れても。
(なんでだろう)
もうちっともこわくない。
窓の外を流れる景色。
初めての場所なのに、少しもこわくないのは、となりに恭太がいるからだ。
どこに行くのかも知らされていないのに、ただワクワクしてしまうのは、恭太がいっしょだから。
恭太はいつだって、わたしにワクワクやドキドキをくれた。
すべてなくしてしまったのは、自分のせい。
わたしが図々しく、もっと! もっと! と甘えたから。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
恭太が黙っていても、楽しい。
となりにいさせてもらえるなら、わたしうれしいよ。
本当はここが掛居の場所だったこと。
ちゃんとわかってるからね。
いまだけ…ね。
「なーんか、雨、降りそうだなぁ」
恭太が窓にこつんとうしろ頭を寄せる。
「わたし、傘、持ってるよ」
恭太が驚いたようにわたしを見た。
「朝の空が降る空だったから、折り畳み傘、持ってきた」
「ああ…なぁ。あの鰯雲、不吉だったわな」
ふふ。
こっそり笑ってしまう。
「何度もあやまるな」
デ・ジャ・ブはふたりに。
「変わってねえな、まったく……」
恭太が言って、頭のうしろで腕を組む。
静かな時間が流れても。
(なんでだろう)
もうちっともこわくない。
窓の外を流れる景色。
初めての場所なのに、少しもこわくないのは、となりに恭太がいるからだ。
どこに行くのかも知らされていないのに、ただワクワクしてしまうのは、恭太がいっしょだから。
恭太はいつだって、わたしにワクワクやドキドキをくれた。
すべてなくしてしまったのは、自分のせい。
わたしが図々しく、もっと! もっと! と甘えたから。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
恭太が黙っていても、楽しい。
となりにいさせてもらえるなら、わたしうれしいよ。
本当はここが掛居の場所だったこと。
ちゃんとわかってるからね。
いまだけ…ね。
「なーんか、雨、降りそうだなぁ」
恭太が窓にこつんとうしろ頭を寄せる。
「わたし、傘、持ってるよ」
恭太が驚いたようにわたしを見た。
「朝の空が降る空だったから、折り畳み傘、持ってきた」
「ああ…なぁ。あの鰯雲、不吉だったわな」
ふふ。
こっそり笑ってしまう。