わたしたちの好きなひと
岡本と掛居。
『あんたにだけは! 負けないわ』
『それは楽しみだけど。次の試験は、なんていうばからしい勝負はやめてね』
二大巨頭の戦闘はそれで終了。
岡本は耐えてくれた。
最終日の神戸修学を終えて、帰りの新幹線が東京駅につく直前まで。
わたしと岡本は……。
『稲垣……。なんにも言わずにこっち向いて。目、つぶりな』
委員として掃除に立った洗面所で、鏡に岡本が映ったとき。
わたしは、それですむならって。
叩かれてもいいって。
ぎゅっと目をつむって待ったのに。
わたしを襲ったのは痛みじゃなくて動揺。
唇に、温かなものがふれた。
押しつけられた。
『ざまーみろ。これであんたのファーストキスの思い出は台無しよ』
『あんたにだけは! 負けないわ』
『それは楽しみだけど。次の試験は、なんていうばからしい勝負はやめてね』
二大巨頭の戦闘はそれで終了。
岡本は耐えてくれた。
最終日の神戸修学を終えて、帰りの新幹線が東京駅につく直前まで。
わたしと岡本は……。
『稲垣……。なんにも言わずにこっち向いて。目、つぶりな』
委員として掃除に立った洗面所で、鏡に岡本が映ったとき。
わたしは、それですむならって。
叩かれてもいいって。
ぎゅっと目をつむって待ったのに。
わたしを襲ったのは痛みじゃなくて動揺。
唇に、温かなものがふれた。
押しつけられた。
『ざまーみろ。これであんたのファーストキスの思い出は台無しよ』