わたしたちの好きなひと
10メートルは離れていても、その白いTシャツの胸から下がビショビショなのは、おなかに張りついて肌が透けているからよくわかる。
こぼした水と昇華二酸化炭素のせいだろう。
「じゃじゃーん。スーパースター入場!」
「ばかだ……」
がっくりブランコに腰を落としたわたしの横で、掛居は大笑いだ。
「シューコすごい。大正解」
「恭太ぁ。あんたって子は……、小学生か!」
「なに怒ってるんだよ。ほら、買ってきてやったぞ。ドライアイスは有益に使ってやったし、人肌で温めてやったからな、ほどほどに溶けて食いごろだぞ」
くるっと背中を向けた恭太のおしりにはベルトに結わいつけられたビニール袋。
「ばかだ。ほんとぉぉぉに! ばか」
腹立たしいけど、ここまできてドロドロに溶けていて食べられなかったらもっと腹立たしいので、掛居に命令。
「取って。出して。わたしの、ちょうだい」
「はいはい、シューコ姫。…って、おい! やめろ、恭太」
掛居はふざけて腰を振る恭太にもう笑いが止まらないらしく、ブランコの鎖にしがみついて背中を震わせている。
「んもう! 役立たず」
こぼした水と昇華二酸化炭素のせいだろう。
「じゃじゃーん。スーパースター入場!」
「ばかだ……」
がっくりブランコに腰を落としたわたしの横で、掛居は大笑いだ。
「シューコすごい。大正解」
「恭太ぁ。あんたって子は……、小学生か!」
「なに怒ってるんだよ。ほら、買ってきてやったぞ。ドライアイスは有益に使ってやったし、人肌で温めてやったからな、ほどほどに溶けて食いごろだぞ」
くるっと背中を向けた恭太のおしりにはベルトに結わいつけられたビニール袋。
「ばかだ。ほんとぉぉぉに! ばか」
腹立たしいけど、ここまできてドロドロに溶けていて食べられなかったらもっと腹立たしいので、掛居に命令。
「取って。出して。わたしの、ちょうだい」
「はいはい、シューコ姫。…って、おい! やめろ、恭太」
掛居はふざけて腰を振る恭太にもう笑いが止まらないらしく、ブランコの鎖にしがみついて背中を震わせている。
「んもう! 役立たず」