わたしたちの好きなひと
「ちょっと! いま正確に復唱しなかった? まさか…わざと? これ、いやがらせ?」
「うるせぇ女だな。それくださいって指さしたら、ネーチャンがただのチョコにすくうやつをぶっさしたから。ま、いいかって……」
「なんでちゃんと伝えないのよ! その口はなんのためについてるの」
「ふたりとも……」
掛居がため息をついたのは、恭太もわたしも横目で見たけど止まらない。
「そういういいかげんさだから、あんた、国語が体温みたいな点数になっちゃうんでしょうが。先生に読めない字を書いて、書き取りの点数がもらえるわけないじゃん。ばかなの?」
「ばか、ばか、言うな」
「言うわよ。食べ物の恨みはこわいのよ。呪うわよ。あんたなんかすべっちゃえ、転んじゃえ。ばーかばーか」
「ばーか。おれは推薦きてるから、すべらねえわっ」
「――――ぇ」
え? え、え、え?
「やだ。じゃあなんで、夏期講習なんか受けに来てるの?」
「…………」
「なによ。推薦なんてすごいじゃない、恭太。なんで黙ってたのよぉ。いいなぁ、うらやましい」
「…………」
恭太はきゅうに口を真一文字にして黙ってしまった。
どうした?
「うるせぇ女だな。それくださいって指さしたら、ネーチャンがただのチョコにすくうやつをぶっさしたから。ま、いいかって……」
「なんでちゃんと伝えないのよ! その口はなんのためについてるの」
「ふたりとも……」
掛居がため息をついたのは、恭太もわたしも横目で見たけど止まらない。
「そういういいかげんさだから、あんた、国語が体温みたいな点数になっちゃうんでしょうが。先生に読めない字を書いて、書き取りの点数がもらえるわけないじゃん。ばかなの?」
「ばか、ばか、言うな」
「言うわよ。食べ物の恨みはこわいのよ。呪うわよ。あんたなんかすべっちゃえ、転んじゃえ。ばーかばーか」
「ばーか。おれは推薦きてるから、すべらねえわっ」
「――――ぇ」
え? え、え、え?
「やだ。じゃあなんで、夏期講習なんか受けに来てるの?」
「…………」
「なによ。推薦なんてすごいじゃない、恭太。なんで黙ってたのよぉ。いいなぁ、うらやましい」
「…………」
恭太はきゅうに口を真一文字にして黙ってしまった。
どうした?