わたしたちの好きなひと
第7章『プレイバックpart3』
あれは中3の10月。
わたしの15回目の誕生日。
運悪く、その日は初めての進路指導の日でもあった。
* * *
「おい、シューコ。おまえ付属校ねらいか? 軟弱だな」
「なんでよ。受験勉強なんて人生の無駄だって夏に思い知ったもん。もう2度といやだわ」
恭太は、先に森ちゃんと話してきたわたしが、森ちゃんからもらってきたプリントを、許しも得ないで勝手に読みふけっているところで。
「げっ、なんだってこんなのばっか選ぶんだよ。こっちの、これ、公立発表まで入学金を待ってくれないって、有名なとこだぞ。親不孝もん!」
あーもう。
どうせ、その親にはもう帰ってもらったし。
教室にはだれもいないからいいけどね。
「ひとの進路なんか気にしてもしかたないでしょ。そんなに言うなら、あんたのも見せなさいよ。批評してやるわ」
今日は出席番号15番までの日。
みんな自分の番が終わると、たいていはこわい顔をしたお母さんに連れられて帰ったから、自分の番が終わっても残っているのはわたしだけ。
恭太は13番。
いまごろは掛居の番だ。