わたしたちの好きなひと
「はっぴババーすでぇ つーゆー」
「はっぴババーすでぇ つーゆー」
 やぁ、めぇ、ろぉぉぉぉ!
 カウンターのなかで調理係のお姉さんが笑ってるぅ。
「はっぴババーすでぇ、でぃあシューコォー。 はっぴババーすでぇつーゆー」
 っもう。
 無駄にデカイ声で、ばか恭太!
「ひゅー、ひゅー」
「掛居ぃ、なんとかしてよ、このばかっ」
「それはないよなぁ、恭。せっかく祝ってやってるのにな?」
「そのとーり! あ、お姉さん、サンキュ」
 笑いをこらえながらお姉さんが持ってきてくれたのは恭太の追加のテリチ。
「久しぶりね。お勉強がんばってる? 元気そうで、ちょっと安心…かな」
 お店は恭太の指定で。
 行きつけだと言っていたから、店員さんも部活帰りに寄る恭太を、ちゃんと覚えていてくださったらしい。
「体力だけだもんな、自慢は」
「その体力で、春までスタミナ充分! がんばれるわよ」
 お姉さん、やさしい。
 わたしも今日は主役だからね。
 この子、体力だけなんですぅ…と言わないであげるわ。
「…ところで」
 お姉さんがわたしに笑った。
 (はい?)
「どっちのカノジョちゃんかな?」
 (――へっ?)
 お姉さんの言葉に、おもしろいくらい3人の呼吸がそろう。
 なにしろ3人同時に、まばたきもした。
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