このせかいに在るがまま
どうせわたしは明日も隠された上履きを探すところから1日を始めるし、授業で当てられた時以外 声を発することなくつまらない時間をすごす。
学校が終わったらバイトに行って、時々厄介な酔っぱらいに絡まれながら適当にそれを躱して、いつしかわたしに全く干渉してこなくなった親戚夫婦が寝静まる家に帰る。
なにもかわらない。
絶望も希望も、なにもかもどうでもいい代わり映えしない日々のくり返し。
痛みも苦しみもなく、だれにも迷惑をかけずに死ねるなら死にたい。そんな方法を探すことさえめんどくさいからなんとなくで生きている。
それだけなんだ、ほんとうに。
「ふうん」
わたしの話を一通り聞き終えた星原くんは、つまらなそうに相槌を打った。
聞いておいてそれはないんじゃないかと思うと同時に、下手に同情されても面倒だったからまあいいかと、そんな考えに落ち着いた。
「なかなか面白い話だったよ。聞かせてくれてありがとう」
「…はあ?」
適当に言っているだけじゃないの、この人。
数秒前のつまらなそうな相槌からは想像できない言葉だ。それに、わたしは面白い話をした覚えはない。
思わず眉を顰めると、星原くんは「ああ、ごめんね」と全く悪いと思っていない声色で謝った。