このせかいに在るがまま
『うう、そっかぁ。わかった、今日はやめとこ』
けれど、姉ちゃんは思いのほかあっさり折れた。変だなと思いつつ、明日は雪かも なんて呑気なことを考える。
「今日は早くねるよ」という姉ちゃんに頷いて、おやすみを交わした。
それが、姉ちゃんがながい夢を見始める、数時間前の話。
その日の夜、0時を回った頃。大きな雷が落ちた音で目が覚めて、おれは寝ぼけたままトイレに向かった。
おれと姉ちゃんの部屋は隣同士になっていて、トイレは廊下を歩いた突き当たり。姉ちゃんの部屋の前を通る作りになっている。
ぺたぺたと裸足で廊下を歩くと、ふと 冷たい風が足元を突き抜けた。姉ちゃんの部屋の前だった。
不思議に思って足元に視線を移すと、姉ちゃんの部屋のドアが少しだけ開いていた。
ぼんやりしていた脳が目覚める。
嫌な予感がした。