このせかいに在るがまま
おれのクラスはいじめこそ無いものの、暗黙のカースト制度はあった。
いつも何かと教師に反抗的な生徒が若干名、このアンケートの項目を読み上げて笑いあっている。それだけ、いじめの実態を軽く見ているのだと思う。
そしておれも、少し前までは似たような考えを持っていた。
いじめはどの学校でも起きるイメージがあるけれど、おれ自身がそういう現場を見た事がなかったので、実際いじめが起きるのは本人にも原因があるのかも、と 冷めた考えを持っていたのだ。
けれど、そんなのは思い込みだった。
「あ。つうかさ、星原」
アンケートが回収された後、前の席に座っていた新山というクラスメイトに名前を呼ばれた。
振り返っておれの机で頬杖をついた新山が、好奇心に導かれるまま口を開く。
「───星原の姉ちゃん 自殺未遂したってマジ?」
この頃からだったと思う。
おれが、この世界を嫌いになり始めたのは。