このせかいに在るがまま
姉ちゃんが自殺未遂したのが先週のこと。
学校から電話を受けたという両親が土曜日に久々に顔を出したと思ったら、2人は口々にばあちゃんを責め立てた。
「お母さんに預けたのが間違いだったのかしら」
「こっちは仕事も立て込んでて忙しいのに」
「海歩も海歩よね。どうして私たちの名が下がるようなことばかりするのかしら」
「あいつがダメなのは昔からだろう。期待するだけ無駄だったんだから」
「それにしてもこんなことがあったらご近所で噂されてしまうじゃない」
仕事熱心な両親を誇りだと思ったことは一度もなかった。
生まれてこの方、彼等に感謝していることは、おれと姉ちゃんを育てることを放棄してばあちゃんに預けてくれたことくらいだ。
自分のキャリアと体裁ばかりを気にして、実の娘にどんな死にたくなるようなことがあったのか知ろうともしない。