このせかいに在るがまま







「こんな田舎じゃきっとご近所さんにもすぐ伝わってしまうだろうから、天晴は家に帰らせるわ。もうお母さんのところにはおいておけない。海歩だけならまだしも、天晴にまで悪影響が出たら困るものね。来年は受験もあるし、今のうちに環境を整えておかないとね」




どこまでも人のせいにするつもりか と神経を疑った。


実の親であるお前らより、ばあちゃんはずっとずっとおれたちを大切にしてくれた。



茶色い煮つけや焼き魚が多いご飯も、時々我儘を言って作ってもらったオムライスも、「星も海も、それぞれ綺麗で、ばあちゃんは大好きだよ」そう言ってしわくちゃな笑みを浮かべてくれるのも、全部ばあちゃんがしてくれたことだ。



家には帰りたくなかった。ずっとばあちゃんの家に居たかった。両親の勝手な都合でおれの生活を奪わないでくれ。姉ちゃんのことをもっと心配しろ。それでも親かよ、同じ血が通ってんのかよ。



言いたい文句はたくさんあった。

───けれど、



「寂しいけれど、ばあちゃんは、天晴のことも海歩のことも、いつでもここで待ってるからねぇ」



ばあちゃんがそれ以外何も言わなかったから、おれも「うん」以外何も言わないことにした。



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