このせかいに在るがまま



――





「なぁ星原、聞いてる?」




聞いてるよ。聞きたくなくても耳に入ってくるクソみたいな噂話も、同情する声も、面白がっている声も、全部、おれが拒否する前に聞こえてくるんだ。



姉ちゃんが夢を見始めてから、絶望の連続だ。

おれは、こんなにも窮屈でゴミみたいな世界で呼吸しているのか。






「星原の姉ちゃん、なんでいじめられてたん?写真見たけど、あんま似てないよなぁ。おまえすっげーイケメンなのにさ、姉ちゃんの方、一重だしちょっと怖そうっつうか。笑わないし、なんか、根暗?っていうか。ああ、そういうのもあんのかな。女って怖いしー、弟が星原みたいなイケメンだったら余計、似てない兄弟って辛いよなぁ。つうか星原気づかなかったの?家族なのにさ、やっぱ不仲なんじゃねえ?姉ちゃん死んで…あ、まだ死んでないか。姉ちゃん自殺するって知ってて止めなかったとかだったりする?」




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