このせかいに在るがまま





「海歩は全然ダメね」

「どうしてこんなことも出来ないの」




姉ちゃんは笑っていた。笑って、いつも母さんに「ごめんなさい」と言っていた。



ーー私も天晴くらい出来る子だったらな、お父さんとお母さんのこと怒らせてばかりで私はダメだなぁ、私ができないせいで天晴に負担ばかり掛けていてごめんね。



おれは、何も言えなかった。





『いいなぁ、いいなぁ天晴は』



あれは、姉ちゃんの心からの叫びだったのだと思う。おれが居るせいで姉ちゃんに苦しい思いをさせた。おれなんか居ない方が良かったんじゃないかって、今でも時々考える。


空は誰も殺さない。海が誰かを殺すと言うのなら、おれと姉ちゃんの名前を交換してもいい。

おれはずっと、この世の全部を殺してやりたいと思ってる。



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