このせかいに在るがまま








星原くんが教えてくれた過去の話。

わたしとは温度の違う不満と後悔を抱えていて、なんて声をかけるのが正解なのかわからなかった。


2人分の呼吸だけが響く教室の窓の隙間から、ヒュー…とつめたい風が吹く。




人生の軸が狂って、負の感情でしか動けなくなる。

星原くんはまさにそうだったと言った。お姉さんを自殺に追い込んだ世界が嫌いだった。おばあちゃんの声を聴き入れない両親が嫌いだった。


そうしているうちにこの世に不満ばかりが残っていって、人に期待をしなくなった。



バカばっかりがあふれてる、力のあるやつばかりが得をする。当たり前にこんな世界を生きていることが気持ち悪くて、時々、ぽっくり死んでしまいたくなる。




「…さっきのおれ、こわかったよね。ごめん、本当に」



ちいさく謝った彼が、ひどく小さな存在に見えた。



< 120 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop