このせかいに在るがまま
「仮にそうだとして、滝口に関係ある?」
「…あー?」
「おれが芽吹さんを好きだったとして、付き合ってたとして。それが、滝口になんの関係があんの?」
星原くんの口調は至って普通だった。「お前」も「死ね」も言わない。ただ正論をもって、滝口くんと話をしている。
クラスメイトが居るからだろうか。昨日は放課後で、相手が山岸さんしかいなかったからさらけ出せたのだろうか。
クールで穏やかな星原くんの雰囲気は、静かに怒りを纏っていた。スカートの上でギュッと拳を握りしめたまま、星原くんの声に耳を傾ける。
「マジ?お前、芽吹のこと好きなんだ?」
「かもね」
「あっは、みんな聞いた?このクラスでモテモテの星原天晴くんはぁー、芽吹 透和子ちゃんが好きだってさぁ!」