このせかいに在るがまま
「滝口」
星原くんの声が落ちる。「あっは、なに?」と 笑みを浮かべた滝口くんが答えた。
「山岸のこと、芽吹さんを虐めるように仕向けたのお前?」
え、と思った。
そんなわたしに気付いたのか、大丈夫 と星原くんがアイコンタクトをする。出そうになった言葉を呑み込んで頷くと、星原くんはさらに言葉をつづけた。
「……昨日、山岸の様子、おかしかった。おれと芽吹さんがぶつけた言葉で追い込んだのも事実だけど、それとはなんか違う…、おかしいくらいに動揺してた。『ちがう、ちがう』って言ってたよ。今までおれの前でも散々芽吹さんのこと痛めつけてたくせに、あの時だけは必死に言い訳しようとしてた」
星原くんの言葉にハッとする。
ーーあたしがいないとなんにも出来ないクズばっか
ーーなんなのよどいつもこいつも
ーーちがう、ちがうっあたしは、
何にイライラしているのかな、と疑問に思っていた。あまりにも急激に情緒が変わるから少し心配だった。わたしに対する執着がすごいな、とも思っていた。