このせかいに在るがまま
「山岸ね、俺のこと好きなんだって。告白してきたから1回ヤラせてあげた。そしたら付き合ってってしつこいから、『芽吹のこと消してくれたら考えてあげる』って言った。ただそれだけ。行動したのは山岸の意思」
人の気持ちを弄ぶなんて最低だ。ましてやそれが恋心だったなんて、同じ女として 決して許したくは無かった。
「山岸はずっと芽吹のこと嫌ってたよ。『あたしもあんなふうになりたかったのに どうしてなれないの』ってさ。健気だよなー、そう考えたら山岸って可愛いな?なぁ?星原も思わない?」
「思わない」
「はは、ツレねー」
へらりと笑ってみせる滝口くんに憎悪を抱く。
最低だ、こいつは、絶対に許してはいけない。
教室内が再びざわつき出した。"どちら側"に着くのが正解か分からなくなっているのだろうか。
このクラスの雰囲気を悪くしていたいじめの主犯は山岸さんであり、皆が怯えていた。けれどその主犯を動かしていたのは滝口くんだった。山岸さんからの好意を利用して、わたしを貶めることにした。
どちら側もクソもない。どちらも違う形で最悪なことをしているのだ。たとえ土下座して謝られたとしても、彼らの心理を認める日は来ないと思う。