このせかいに在るがまま






「…はーあ。けどさぁ星原、」



スッと滝口くんから笑顔が消えた。
ぞくり、背中を嫌な汗が伝う。




「俺はね、芽吹は単なる巻き込まれ事故だと思ってる。もちろん悪いと思ってるよ?いちごみるくぶっかけたのも やりすぎたかなーって反省した。ごめんね、はい今謝ったからこれでチャラな?」

「は……、」

「星原さ、気付いてないと思ってんなら、お前もソートー"愛"に頭やられてんじゃない?星原が芽吹のこと気にかけてること、俺からしたら結構バレバレだったんだよねぇ。『人気者』と『一匹狼』って噂になりやすいだろ。芽吹を山岸のターゲットとして確立することで孤立させられる。そしたら、距離感保ってたお前がどこかで動くかもって思った。まあ、大方予想通りだったけど」





人間を動かすのは愛ではないとわたしは思う。愛よりもずっとずっと人間を動かすのは負の感情だ。


劣等感や嫉妬が、人を狂わせる。

星原くんも、そう言っていたじゃないか。



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