このせかいに在るがまま






わたしの噂を流したのは山岸さんの友達だった。その情報が彼女にわたり、山岸さんを中心にわたしへのいじめが始まった。


彼女は星原くんのことが好きなのかもしれない。隣の席になりたかったのかもしれない。


わからない、興味もない。

けれど、彼が山岸さんのことを「山岸」と敬称無しで呼んでいたことが、少しだけ嬉しかった。





「勝手に自分を友達だと思い込んでるやつらはさ、何を基準に自分のことを友達だって思うんだろうね。境界線があいまいな物事は嫌いなんだ。ひとりひとりに『俺っておまえの友達?』って聞かれた方がわかりやすくていいのにね。そうしたら、『友達じゃないよ』って言えるし、お互いにその事実を共有できる」


「…星原くんは、友達がいない……?」

「うん。芽吹さんと同じだね」




ふっと軽く笑った星原くん。

目を細めてわらうその雰囲気は、柔らかくてやさしくて、不思議とつくりもののようには感じなかった。




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